パンデミック後には大規模な騒乱が起こる
History Tells Us Epidemics Are Followed by Huge Civil Unrest for These Three Reasons
彼らはさらに、こうした不満感や社会の不和に加えて、不安感やストレスに満ちた社会関係が人々を個人の生活領域の中に閉じ込める傾向があり、「必然的に抗議運動の社会的なつながりが緩くなっている」と説明。しかし、その同じ条件が後々、人々をより攻撃的にする可能性もあり「パンデミック後に社会的な争いが増えると予想される」と述べた。
2人は「各国政府が権力を強化するために、パンデミック下で導入した自由の制限を戦略的に利用する可能性がある」と続けた。「(ハンガリーの)ビクトル・オルバン首相やドナルド・トランプ米大統領は、そのほかの全ての問題よりも法と秩序の維持が重要だと強調しようとしていることで知られるが、彼らが最も目立つ存在というだけで、同じような考えを持つ指導者は大勢いる」
モレッリとチェンソロは、疫病と社会不安の関係性を明らかにするためには、より高度な歴史分析が必要だと認めている。
米キーン州立大学のスーザン・ウェード准教授(歴史学・中世ヨーロッパ)も、6月にジョージ・フロイドが警察に拘束されて死亡した事件を受けて世界中で大規模なデモが起きた際、学術系ニュースサイト「ザ・カンバセーション」で発表した論文で同じような見解を示した。
避けられない争い
「パンデミックのさなかにアメリカで幅広い騒乱が起きている今の状態は、14世紀の暴動と興味深い共通点がある」と彼女は書いた。
「21世紀型資本主義による経済格差――最も裕福な1%の人々が世界の富の半分以上を保有している状態――が、14世紀ヨーロッパに似てきているように思う」と彼女は指摘。「所得の不平等があまりに深刻化し、一連の不平等が長期的な抑圧から起きていることを考えると、2020年に各地で起きている類の騒乱は、避けられないものなのかもしれない」と結論づけた。
ウェイドは本誌に対して、モレッリとチェンソロによる研究は「私たちが現在直面している状況について、理解を深めるための幾らかの材料になるかもしれない」との見解を示し、その理由として「実際に14世紀に起きたことと、アメリカでいま起きている騒乱の間には複数の類似点があるように思うから」だと語った。
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