最新記事

人種問題

ワシントンDCで人種差別撤廃求める大規模集会 キング牧師の演説「私には夢がある」を記念

2020年8月29日(土)12時44分

米ワシントンでマーティン・ルーサー・キング牧師が行った演説「私には夢がある」を記念する大規模集会が開かれ、集まった数千人の人々が人種差別と警察による暴力の撤廃を訴えた。写真は28日、リンカーン記念堂前で行われた大規模集会(2020年 ロイター/Andrew Kelly)

米国の首都ワシントンで28日、1963年のこの日に米公民権運動の指導者、マーティン・ルーサー・キング牧師が行った演説「私には夢がある」を記念する大規模集会が開かれ、集まった数千人の人々が人種差別と警察による暴力の撤廃を訴えた。

キング牧師は自由を求めて行ったワシントンの行進で、「いつの日か、自分の子どもたちが肌の色でなく、人格によって評価される国に住むという夢がある」と演説。人種差別を巡る抗議活動が全国的に広がる中で開かれた今年の集会では、11月の大統領選挙における投票の重要性のほか、行動主義と黒人市民権運動との関連や、銃による暴力などにも焦点が当てられた。

米国では今年5月、ミネソタ州ミネアポリスで黒人男性ジョージ・フロイドさんが白人警官に膝で首を押さえつけられ死亡する事件が発生。全国的に「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大切だ)」のスローガンを掲げた抗議活動が広がった。

今週にはウィスコンシン州のケノーシャで、黒人男性ジェイコブ・ブレークさんが警官に背後から撃たれ負傷する事件が発生。抗議活動が続く中、約150人の州兵が派遣される事態となっている。

リンカーン記念堂で今年の行進に参加したコラダ・シェルビーさん(49)は、「今年の行進は、フロイドさんの死亡に対する抗議活動の一環として行われているため、特に意味がある。確実に戦い続けるため、行進に参加した」と述べた。

歴史を学ぶ学生のジャマル・ブディックさん(23)は、選挙で選ばれた人々は、フロイドさんとブレークさんの身に起きたことを理解し、二度とこうしたことが起こらないようにする必要があるとし、「われわれに対し長らく否定されてきた人種平等の実現を望んでいる」と述べた。

この日の集会は「コミットメントへの行進─われわれの首から膝を外せ」とのスローガンが掲げられ、リンカーン記念堂で参加者による演説が行われた後、約800メートル離れたキング牧師の記念碑までの行進が行われる。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・米ウィスコンシン州、警官が黒人男性に発砲し重体 抗議活動で外出禁止令
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず
・中国からの「謎の種」、播いたら生えてきたのは......?


20200901issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年9月1日号(8月25日発売)は「コロナと脱グローバル化 11の予測」特集。人と物の往来が止まり、このまま世界は閉じるのか――。11人の識者が占うグローバリズムの未来。デービッド・アトキンソン/細谷雄一/ウィリアム・ジェーンウェイ/河野真太郎...他

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ユーロ圏の成長は予想上回る、金利水準は適切=ECB

ワールド

米「ゴールデンドーム」計画、政府閉鎖などで大幅遅延

ビジネス

12月米利下げ予想撤回、堅調な雇用統計受け一部機関

ワールド

台湾、日本産食品の輸入規制を全て撤廃
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 4
    中国の新空母「福建」の力は如何ほどか? 空母3隻体…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性
  • 9
    幻の古代都市「7つの峡谷の町」...草原の遺跡から見…
  • 10
    EUがロシアの凍結資産を使わない理由――ウクライナ勝…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中