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公立学校の授業に感じた「悲惨さ」の正体 日本の教育スタイルはこのままでいいのか

2020年7月24日(金)12時00分
親野 智可等(教育評論家)*東洋経済オンラインからの転載

だが、本当は学力下位の子たちにも適切な指導ができる方法があるのだ。しかも、休み時間ではなくちゃんとした授業時間に行えて、各自の学力ニーズに応じた個別学習ができる方法だ。それは、IT活用の個別学習だ。

これは、すでに民間の塾や通信教材においては普通に行われている。主に「専用タブレット」「iPad」「androidの端末」などを使う教材で行い、なかにはIT教材と紙の教材を組み合わせたものもある。また、子どもの学力や目標に応じて基礎学力コースや中学受験コースを選べるものもある。

各社の教材による違いはあるが、だいたいは最初に動画やアニメーションによる解説があって、学習内容をわかりやすく説明してくれる。円の面積が、なぜ「半径×半径×3.14」で求められるのか、非常にわかりやすく教えてくれるのだ。子ども同士の話し合いだとごちゃごちゃしてわからなかった子にも、これならわかりやすい。

次に基礎的な練習問題、応用問題と進む。わからなくなったらまた最初の解説を見ればいい。気兼ねなく何度も見ることができて、文句を言われることもない。先生、親、友達だとこうはいかなくて、微妙に「まだわからないの?」的な雰囲気を感じてしまうところだが。

スモールステップで学習意欲を高めることも

練習問題も各自のつまずきや理解度に応じて、その子に必要な問題が出てくる。解けなかった問題を繰り返し解けるので、確かな定着が可能になるのだ。これは時間と労力の面でコスパがよい。一斉授業や紙の教材だとこうはいかなくて、その子にとってはすでに必要ない問題が何問も出てきて、本当にその子に必要な問題はちょっとしか出てこないということがよくある。

やる気を高める工夫も怠りない。ゲーミフィケーション要素を取り入れて、ゲーム感覚で学べるものや、スモールステップでリトルサクセスを積み重ねてやる気を高めるものもある。随所で子どもの頑張りを褒める言葉が出てきたり、達成率が数字やグラフで確認できたりなどの工夫も見られる。これらの工夫が子どものやる気を高めてくれる。こういった数字やグラフを保護者が見れば、学習の進捗を知ることもできる。

私自身も中学・高校と数学が超苦手で、6年もの長きにわたって、数学の授業中はよくわからないまま座っていた。同級生たちの話し合いは完全に意味不明で、先生の説明もよくわからなかった。今思い起こしてもあの膨大な時間のロスがもったいなく感じられる。あの無駄に過ごした時間に、今あるようなIT教材で学ばせてもらえていたら、私の数学への苦手意識ももう少し何とかなったのではないかと思う。

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