最新記事

韓国社会

過激演出で話題のドラマ、子役2人が問題行動で炎上 背景には韓国の国民性も?

2020年5月22日(金)21時15分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

女性嫌悪を表すイラストをSNSに

ところが、その数日後、今度は主人公夫婦の息子ジュンヨン役を演じた14歳の子役チョン・ジンソがターゲットとなった。オンラインサイトに、チョン・ジンソが過去SNSに投稿したイラストと友達同士の会話のキャプチャー画像が投稿されたのだ。そのイラストとは、中指を立てた男性が「女性は皆消えてください」と言っている絵である。

これは、極右思想や女性蔑視などがはびこる過激なオンラインサイトでばら撒かれていた、女性への敵愾心を表したイラストだった。「女性なら誰でもよかった」という衝撃的な"女性嫌悪"で、通りがかりの女性を殺害した2016年の江南駅通り魔殺人事件。この事件がきっかけとなって韓国におけるフェミニズム意識が高まりを見せたが、そんな女性たちに反感をもった一部の男性がさらにフェミニズム嫌悪を主張し始め、このようなイラストが拡散されるようになったのだ。

チョン・ジンソの所属事務所は、謝罪と共に「当時オンラインで出回っていたイラストを投稿しただけで、彼は該当のイラストの象徴性も内容の意味も分かっていなかった」と説明したが、批判の声は相次いだ。

このように、韓国ではここ数年、"男性VS女性"のような図式の対立が目立つようになり、子役たちも知らず知らずのうちにその流れに乗ってしまっていることがある。

あの「n番部屋」事件に言及しての炎上も

最近では、15歳になるミュージカル子役キム・ユビンが、n番部屋事件に関連して、「韓国の男性が全員n番部屋に加入していると思うなよ」という内容を、乱暴な言葉と女性蔑視の単語でFacebookストーリーに投稿し批判を浴びた。キム・ユビン側はその後謝罪文を発表、SNSを非公開にしてしまった。

さらに、ジェンダーについての子役問題では、このようなケースもあった。Netflixで世界配信中の韓国ケーブル局tvNのドラマ『ハイバイ、ママ!』で、5歳の子役ソ・ウジンは、性別は男の子なのにもかかわらず、女の子役として出演していた。愛らしい容姿に加え、母親役のキム・テヒの幼少期にそっくりだということが理由だった。

ところがこの事実が明るみになると、インターネット上では、「今後の性のアイデンティティに影響が出る可能性がある」「そこまでして役が欲しいのか。子供がかわいそう」など、ソ・ウジンの両親に対して批判が集中。母親がSNSを通じて、本人と話し合ったうえで決めた経緯など説明し、批判をやめてほしいと訴えている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

再送-米、ロ産石油輸入巡り対中関税課さず 欧州の行

ワールド

米中、TikTok巡り枠組み合意 首脳が19日の電

ワールド

イスラエルのガザ市攻撃「居住できなくする目的」、国

ワールド

米英、100億ドル超の経済協定発表へ トランプ氏訪
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く締まった体幹は「横」で決まる【レッグレイズ編】
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 6
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 7
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中