新型コロナ、休校で子育て家庭が大混乱した3つの背景
また、案外知られていないようだが、保育所等の待機児童問題と同様、小学生の学童保育でも待機児童問題がある。都市部では、低学年にも関わらず学童保育に入所できずに、放課後は自宅で一人で留守番をしたり、習い事教室をかけもちしてやり過ごしているという声も聞く。よって、今回の厚生労働省の方針を受けて、全ての学童保育が開所したとしても、そもそも居場所に困っている児童がいるのだ。今回の大混乱の背景には、居場所のない低学年児童が少なくなかったこともあるだろう。
4──「(3)休校による休業で収入が減少する家庭が多かったこと」~共働き世帯の妻の過半数はパート、シングルマザーの平均年収は243万円
3つ目は「休校による休業で収入が減少する家庭が多かったこと」だ。
共働き世帯の妻の過半数は、年収150万円未満であり、夫の扶養控除枠を意識した働き方をするパートタイム就労の妻が多い(図表4)。時間給で働くパートタイムの場合、休業は収入減少に直結する。今回の休校要請によって、パートタイムで働く母親が多いスーパーなどでは、子の休校に伴う休職者が増え、人手不足が生じたところもあったようだ。
なお、フリーランスも休業が収入減少に直結しやすいが、子育て家庭の世帯主の約1割はフリーランスであり、夫がフリーランスの割合は約1割、妻は3%である1。
また、子育て家庭のおよそ1割は大半がシングルマザーの「母のみ仕事あり」の世帯であったが、一層、厳しい経済状況にある。
厚生労働省「平成28年度全国ひとり親世帯等調査」によると、母子世帯の母自身の平均年間収入2は243万円(うち就労収入が200万円)である。一方で、父子世帯の父自身の平均年間収入は420万円(うち就労収入は398万円)である。同様にひとり親世帯であっても、母子世帯の平均年間収入は父子世帯と比べて▲177万円(▲198万円)少ない。なお、母子世帯では母自身の就労収入が200万円未満の世帯が58.1%を占め、その多くはパートタイムをはじめとした非正規雇用者だろう。
5──おわりに~休校による休業支援、長期化すれば更なる予算確保の必要性も
政府の新型コロナ関連の経済対策の中では、休校に伴う保護者の休暇取得支援に1,763億円の予算が充てられている3。2月27日から3月31日までに雇用者が有給休暇を取得した場合は事業主に最大日額8,330円が、フリーランスの場合は一律日額4,100円が支給される。
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1 厚生労働省「平成30年国民生活基礎調査」によると、18歳未満の児童のいる世帯のうち世帯主が自営業者の割合は9.2%。また、総務省「平成30年労働力調査」によると、夫婦と子から成る世帯で、夫婦ともに就業者世帯に占める夫が自営業主の割合は8.9%、妻は3.0%、夫婦ともに自営業主は0.35%。
2 生活保護法に基づく給付、児童扶養手当等の社会保障給付金、就労収入、別れた配偶者からの養育費、親からの仕送り、家賃・地代などを加えた全ての収入の額。
3 新型コロナウイルス感染症対策本部「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策 ―第2弾-」(2020/3/10)