性暴力から逃れてイギリスにきた女性の3分の1がまた襲われる
Asylum-seeking Women Abused Again While Destitute in Britain
イーブリンは「6年間住む場所も与えられず、何の支援も受けられなかった」という。「(路上生活は)とても辛かった」
たまたま知り合った男が自分の家に住めばいいと言ってくれたので、藁にもすがる思いで同居したという。「男はセックスを強い、私を奴隷のように扱って虐待した。逃げ出したかったが、生きるためには耐えるしかなかった」
そのうちにイーブリンは妊娠した。「酷いつわりに苦しんだが、お金がないので病院にも行けない。誰にも頼れず、とても心細かった。お金も何もないのに、どうやって子供を育てたらいいのか途方に暮れた」
イーブリンは昨年ようやく当局の窓口につながり、公的サービスを受けられることになって、最低限の生活を保障された。
「悲しいことにイーブリンのようなケースはいくらでもある」と、ドゥディアは話す。祖国で虐待されたと訴えても、信じてもらえないケースも「ざらにある」という。
調査した女性たちは、「圧倒的な絶望感にとらわれている」と、ドゥディアは指摘する。「祖国で迫害されたと訴えても信じてもらえない、内務省は助けてくれない、自分たちの訴えを誰も聞いてくれないという思い」だ。
「疑ってかかる文化」
ドゥディアによれば、内務省には難民認定の審査に当たって、申請者の訴えを「疑ってかかる文化」があり、「それは相手が男性だろうと女性だろうと同じだが、特に女性は不利になる」という。
「男性も性暴力や紛争の犠牲になるが、(社会的立場の弱い)女性はそれ以上に犠牲にされやすい」と、ドゥディアは説明する。祖国で性暴力を受けたと訴えを信じてもらえず、難民申請を却下され、孤立無援の状態になれば、またもや性的虐待のターゲットになりやすい。
内務省は「保護が必要なことを証明するのは、難民認定を申請した者の責任だと考えている」と、ドゥディアは言う。「あり得ないほど信頼性のある首尾一貫した供述をしなければ、申請を受け付けてもらえない」紛争地域などで、女性がいかに弱い立場に置かれ、いかに酷い性暴力の対象になっているか、内務省の職員が「実態を十分に認識していない」ことも問題だという。
イギリスで過酷な生活を強いられているにもかかわらず、「私が話を聞いた女性は全員、イギリスに留まりたいと言っていた。(本国に)強制送還されれば、生存すら保障されないからだ」と、ドゥディアは言う。
彼女たちはいつか難民認定されるだろうと、かすかな希望にすがっているが、認定を待つ間は就労もできず、公的サービスも受けられない。