最新記事

私たちが日本の●●を好きな理由【中国人編】

「保育園」のない中国に、100%日本式の保育施設をつくった上海女性

2020年1月30日(木)17時45分
趙海成(ジャーナリスト)、翻訳:小林さゆり

magSR200130chinese-wangpeitang-2.jpg

「乳幼児用れんらくちょう」を手にする王 ZHAO HAICHENG

幼児教育は日本式の少人数制で行い、主に日本人の先生が通訳を介して教えている。しかも絵本を通じて、日本語はもちろん、日本の文化やマナーについても学ばせる。日本の保育園でよく使われている、記載事項の細かい「乳幼児用れんらくちょう」も、暖嬰屋の売りの1つだ。

そこまで日本人の先生にこだわるのはなぜか。王と那須に聞くと、忍耐力(食事の際、できるだけ手を貸さない。自分で行う力を育むことに意義がある)や、物の扱い方(中国では先生が床に散らばったおもちゃを足で払いのけることがあるが、それを見た子供は物を大切にする習慣を身に付けられない)など、日本人の先生から学ぶべきことが多いという。

また、子供の基礎体力や運動能力を高め、生きる力を育むという日本式保育の理念に王は共感している。中国の先生は、子供が風邪をひいたら親に非難されるからと寒い日の外遊びを敬遠しがちだが、その風潮も変えたい。だから日本人を雇い、日本式を徹底させるのだ(2020年4月からは日本式の幼児運動カリキュラムも取り入れる計画だという)。

王は言う。

「上海で成功したら他の都市にも広めていき、より多くの親子と分かち合いたい。将来、暖嬰屋から巣立つ子供たちが、いろいろな面で人に負けない優れた人材になることを願っている」

※この記事は「私たちが日本の●●を好きな理由【中国人編】」特集掲載の記事「『保育園』なき中国に100%日本式の施設を」の拡大版です。詳しくは本誌をご覧ください。

「私たちが日本の●●を好きな理由【中国人編】」より
「中国人」とひとくくりにする人たちへ──日本との縁を育んできた中国人たちの物語
日本一「日本」を伝える中国SNSの女神「林萍在日本」
中国人コスプレイヤー、同人誌作家、買い物客はこんな人たち(コミケ97ルポ)
横浜の和菓子店、上生菓子に一目ぼれした中国人店主の「おんがえし」


20200204issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年2月4日号(1月28日発売)は「私たちが日本の●●を好きな理由【中国人編】」特集。声優/和菓子職人/民宿女将/インフルエンサー/茶道家......。日本のカルチャーに惚れ込んだ中国人たちの知られざる物語から、日本と中国を見つめ直す。


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ベネズエラ同盟国がマドゥロ氏支持表明、米の石油タン

ワールド

ノーベル委、平和賞受賞のモハンマディ氏逮捕を非難 

ビジネス

英の暗号資産規制、27年10月から開始 財務省発表

ビジネス

欧州委、内燃エンジン車販売禁止撤回提案へ 独メーカ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 5
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 8
    大成功の東京デフリンピックが、日本人をこう変えた
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中