最新記事

温暖化対策

EU、温暖化ガス2050年までにゼロへ 「欧州グリーンディール」発表するも早くも反発

2019年12月12日(木)13時48分

欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は、気候変動対策「欧州グリーンディール」を発表した。写真は同委員会で演説するフォンデアライエン欧州委員長。ブリュッセルで撮影(2019年 ロイター/Francois Lenoir)

欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は11日、気候変動対策「欧州グリーンディール」を発表した。2050年までに温暖化ガスの排出を実質ゼロにすることが柱。

今月1日に就任したフォンデアライエン欧州委員長の初の大型政策で、同委員長は「人類の月面着陸の瞬間」に匹敵すると自賛しているが、化石燃料への依存度が高いポーランド、ハンガリー、チェコからはすでに反発の声が出ている。

12日のEU首脳会議で議論する。

欧州委は2050年までに温暖化ガスの排出を実質ゼロにする法案を来年3月に提案する方針。2030年までの温暖化ガスの排出削減目標を現在の40%減から「少なくとも」50%減に引き上げることも来年半ばまでに提案する。

「化石燃料への依存からの脱却で特に課題を抱えている地域」を支援するため、少なくとも350億ユーロ規模の「公正な移行のための基金」も設立する計画。

同委員長は、化石燃料からの移行を進めるため、1000億ユーロ相当の投資を動員したいと表明。EU域外にも気候変動対策を促すため、汚染物質の輸入に国境炭素税を適用する方針も示した。

環境NGO「地球の友・ヨーロッパ」は、ムードは変わったが、まだ対策が不十分だと指摘。

一方、チェコのバビシュ首相は「チェコも温暖化ガス排出の実質ゼロを望んでいる」とした上で「排出実質ゼロには巨額の費用がかかる」とツイッターに投稿した。

[ブリュッセル ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20191217issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

12月17日号(12月10日発売)は「進撃のYahoo!」特集。ニュース産業の破壊者か救世主か――。メディアから記事を集めて配信し、無料のニュース帝国をつくり上げた「巨人」Yahoo!の功罪を問う。[PLUS]米メディア業界で今起きていること。


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

北朝鮮、仮想通貨開発者狙い米国に企業設立 マルウエ

ワールド

米韓、関税撤廃目指した協定作成で合意=韓国代表団

ビジネス

東京コアCPI、4月は値上げラッシュで+3.4%に

ビジネス

独財政拡大、IMFトップが評価 「欧州全体にプラス
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは?【最新研究】
  • 2
    日本の10代女子の多くが「子どもは欲しくない」と考えるのはなぜか
  • 3
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 4
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航…
  • 5
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 8
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 9
    「地球外生命体の最強証拠」? 惑星K2-18bで発見「生…
  • 10
    謎に包まれた7世紀の古戦場...正確な場所を突き止め…
  • 1
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 2
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 9
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 10
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中