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アルゼンチン約500人の誘拐・拷問・殺害に関与したとされる大学教授、40年越しに逮捕
独裁政権下に消息を絶った人々の写真(ブエノスアイレス・マージョ広場) Agustin Marcarian-REUTERS
<アルゼンチンの軍事独裁政権下で市民弾圧に関わったとされる元警察官は、フランス国籍を取得し、大学教授の職に就いていた>
1976~83年のアルゼンチン軍事独裁政権下で行われた市民弾圧「汚い戦争」。その拷問、虐殺に関わったとされる元警察官が、40年以上を経てフランスで逮捕された。
人道に対する罪で逮捕されたのは、大学教授の職に就いていたマリオ・サンドバル(66)。約500人の誘拐、拷問、殺人に関与したとされるが、今回は1976年から行方不明となった学生エルナン・アブリアータの事件に容疑を絞った。彼は当時、サンドバルに連行され、拘置所として使われていた海軍技術学校に収容された。約5000人が死亡、あるいは「消えた」とされる施設だ。飛行機から海に突き落とされた人々もいたという。
本国では「殺戮者」として知られるサンドバルは、1983年にパリに逃れ、1997年にフランス国籍を取得。2012年からアルゼンチンが送還を求めていたが、長年の法廷闘争の末に仏政府がゴーサインを出した。アルゼンチンの暗黒時代の解明につながることが期待される。
<本誌2019年12月24日号掲載>
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