経済面での男女格差是正まで257年、特にリケジョ活躍の場が乏しい実態が明らかに
また、採用が活発な職業には当てはまらなかったが、自動化技術エンジニア(12%)、アンドロイド開発者(13%)、ロボット・エンジニア(18%)、サイバーセキュリティ専門家(19%)など、非常に特殊なスキルセットが求められる職種でも、女性の進出が遅れていることが分かった。
STEMにはもともと女性の絶対数が少ないと思われがちだが、報告書は、例えばデジタル・スペシャリストでは女性の割合41%に対して、人材プール(潜在的な人材の蓄え)における女性の割合は53%だと指摘。その他、多くの分野で人材プールの女性を活用できておらず、女性の割合を引き上げるための余地はまだ残っているとしている。
自分を褒められない女性研究者たち
WEFのジェンダー・ギャップ指数で示された、理系女性が労働市場で活躍し切れていない様子を裏付けるような調査も、ほぼ時期を同じくして発表された。
女性研究者は男性研究者と比べ、論文を書く際に自分の研究を称賛しない傾向にあるというものだ。この調査は、ドイツのマンハイム大学の経済学者マーク・レルヒェンミュラー氏らによるもので、英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)に発表された。
過去15年間に発表された医学論文10万本と生命科学の記事620万本を研究チームが分析したところ、「斬新」「比類ない」「卓越した」など25種類の「自画自賛」表現のうち、少なくとも1つを含んでいるものは、女性研究者の方が12%少なかった。さらに、影響力のあるジャーナルに発表されたものでは、この差は21%にアップした。
カンザス大学の経済学者ドナ・ギンサー氏(この調査には不参加)は米ワシントン・ポスト紙に対し、このような言葉のチョイスはその人たちの性分なのか、それとも編集過程や文化的な影響を受けているのか?が問題だと述べた。
レルヒェンミュラー氏は、今回の調査では、女性たちがなぜこのような言葉の選び方をするかまでは突き止められない、としている。とはいえワシントン・ポスト紙は、以前発表された別の研究を引き合いに出し、女性研究者が提出した論文は、編集の段階で細かい部分にまで目を光らせてチェックされ、長時間かけてレビューされる傾向にあると指摘。同紙は、これらを含むさまざまな研究から、女性がキャリアを通じて偏見に直面することは明らかだとしている。
STEMで活躍する女性の割合が増えれば、こうした傾向も是正され、経済格差の縮小、ひいては全体的な男女格差の縮小に寄与するのかもしれない。