最新記事

プラスチック・クライシス

日本は環境政策で「セクシー」以上の牽引役を目指せ

JAPAN CAN DO MORE

2019年11月29日(金)17時40分
エリオット・シルバーバーグ(ジョージタウン大学外交研究所フェロー)、エリザベス・スミス(コンサルタント)

とはいえ、環境問題に弱腰だという批判もあるなかで、日本は国際組織やインド太平洋地域の途上国との2国間協力を通じ、その努力を加速させようとしている。

日本はアジア開発銀行(ADB)への最大の出資国だ。ADBは気候変動対策の技術開発とプロジェクトに、2011~18年で300億ドル近くを投じている。今後12年間で、気候変動と災害リスクに関する融資は800億ドルに達する見込みだ。

国際協力銀行(JBIC)と国際協力機構(JICA)も、日本が持続可能な発展と開発を世界的に推進する主要なルートだ。JBICは2010年以降、太陽光発電やエネルギー効率の高い発電所の整備などのプロジェクトに数十億ドルを投じている。

JICAは資金と専門技術の両面から、環境保全や再生可能エネルギー、治水、防災を支援する。気候に柔軟なインフラ整備や防災計画に関する日本の優れた経験は、タイやスリランカなど、災害に弱い地域のプロジェクトに貢献している。

環境問題を通じて他国との関係を促すこともできる。例えば、歴史問題に揺れる日本、中国、韓国は、2015年4月に「環境協力に係る日中韓三カ国共同行動計画」を採択。今後5年間、気候変動や大気汚染、化学廃棄物などの問題に協力して取り組む。

2007年11月には、日本政府が「日ASEAN環境協力対話」の設立を提案した。インドネシア、シンガポール、ベトナムとの間で、2国間の取り組みへとつなげている。

日本は環境問題の地域フォーラムも積極的に主導している。都市開発の管理や持続可能な交通手段の促進、酸性雨のモニタリングのほか、太平洋とインド洋の渡り性水鳥の保全プログラムもある。

日本の重要なパートナーの1つであるインドでは、インフラの近代化と地域経済の推進を支援している。交通機関やエネルギー、水道網など、外国企業が二の足を踏む分野で、日本は積極的に投資している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

MAGA派グリーン議員、来年1月の辞職表明 トラン

ワールド

アングル:動き出したECB次期執行部人事、多様性欠

ビジネス

米国株式市場=ダウ493ドル高、12月利下げ観測で

ビジネス

NY外為市場=円急伸、財務相が介入示唆 NY連銀総
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワイトカラー」は大量に人余り...変わる日本の職業選択
  • 4
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 5
    中国の新空母「福建」の力は如何ほどか? 空母3隻体…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 8
    ロシアのウクライナ侵攻、「地球規模の被害」を生ん…
  • 9
    「裸同然」と批判も...レギンス注意でジム退館処分、…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中