最新記事

中国

中国のサイバー攻撃集団が、7年にわたり世界の医療データを攻撃していた

2019年8月26日(月)19時45分
佐藤由紀子

中国は、世界の医療データを収集する...... BeeBright-iStock

<中国政府が密かに支援する複数のハッカー集団が、世界の医療業界のデータを標的にした攻撃を行っていると米セキュリティ企業が報告した......>

中国政府が密かに支援する複数のハッカー集団が、世界の医療業界のデータを標的にした攻撃を行っていると、米セキュリティ企業FireEyeが8月23日、「Cyber Threats and Healthcare」と題する報告書で説明した。

がん研究に関連する医療データベースが......

こうした攻撃は2013年ごろに始まっており、最近では2019年4月、がん研究で知られる米国のある医療センターが標的になった。この医療センターは、過去にも中国政府につながる別のハッカー集団に攻撃された。

この医療センター以外にも、がん研究に関連する医療データベース、医療機器のデータがターゲットになっている。2017年はがん研究者をターゲットとしたフィッシング攻撃が日本でも確認されたという。

世界保健機関(WHO)の2018年の報告によると、同年に新たにがんに罹患した人は1810万人、死亡した人は960万人で、年々増加している。

FireEyeのプリンシパルアナリスト、ルーク・マクナマラ氏は、「がん研究がターゲットになっている背景には、がんによる死亡率の高まりと、それに伴う国民の医療費に対する中国政府の懸念がある。特に、中国の戦略的計画Made in China 2025には、医療技術の国内開発の促進が含まれている」と語った。

ロボットや航空宇宙と共に、医療技術......

Made in China 2025は、中国政府が2015年5月に発表した製造業発展のロードマップ。ロボットや航空宇宙と共に、医療技術の国内開発も盛り込まれている。

「中国は世界で最も急成長している医薬品市場の1つだ。中国は、世界の医療データを収集することで、他国の競合企業より早く新薬を市場に投入できる可能性がある」とFierEyeは指摘する。

ネットワークに接続する医療機器の使用が増えるにつれて、こうした機器がサイバー攻撃のターゲットになる可能性も高まる。医療機関は、多様なサイバー攻撃に対処する必要があると、FireEyeは警告している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、高市首相の台湾発言撤回要求 国連総長に書簡

ワールド

MAGA派グリーン議員、来年1月の辞職表明 トラン

ワールド

アングル:動き出したECB次期執行部人事、多様性欠

ビジネス

米国株式市場=ダウ493ドル高、12月利下げ観測で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 2
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 5
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 6
    「裸同然」と批判も...レギンス注意でジム退館処分、…
  • 7
    Spotifyからも削除...「今年の一曲」と大絶賛の楽曲…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    中国の新空母「福建」の力は如何ほどか? 空母3隻体…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 7
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中