最新記事

スマホ決済アプリ

実質4日しかフル稼働しなかった7pay、サービス終了が決まっても火種は燻ったまま

2019年8月2日(金)17時30分
楠正憲(国際大学Glocom客員研究員)

7pay終了が決まっても火種は燻ったまま

同社が7payにおける不正利用の理由をリスト型アカウントハッキングと断定して、7IDとOmni7は安全と主張する背景には、こうした足元の事業環境がありそうだ。

しかしながら7payを不正に使われた利用者の中にはパスワードを使い回さず、7IDのパスワードとチャージ用パスワードを別々に設定していたケースもあることから、今回の不正の原因をリスト型アカウントハッキングだけと考えることは難しい。パスワード再発行や外部ID連携の脆弱性、全利用者のパスワードリセットによる混乱いずれも7payではなく7IDとOmni7に起因している。

7payのサービスを終了することで一連の騒動の幕引きを図ることができるのか、それとも同社の説明と食い違う利用者の被害が判明して再び説明を求められる事態が生じるのか、7payのサービス終了が決まっても火種は燻ったままの状態が続いている。


◯こちらの記事は、ヤフー個人からの転載です。

[執筆者]
楠正憲(国際大学Glocom 客員研究員)
インターネット総合研究所、マイクロソフト、ヤフーなどを経て2017年からJapan Digital DesignのCTOに就任。2011年から内閣官房 番号制度推進管理補佐官、政府CIO補佐官、内閣府 情報化参与 CIO補佐官として番号制度を支える情報システムの構築に従事。東京大学 大学院非常勤講師、国際大学GLOCOM 客員研究員、OpenIDファウンデーションジャパン代表理事、ISO/TC307(ブロックチェーンと分散台帳技術に係る専門委員会)国内委員会 委員長、日本ブロックチェーン協会 アドバイザーなどを兼任。FinTech、仮想通貨、財政問題、サイバーセキュリティについて執筆。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=序盤の上げから急反落、テクノロジー株

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、9月雇用統計受け利下げ観測

ビジネス

FRB当局者、金融市場の安定性に注視 金利の行方見

ワールド

ロシア、ウクライナ東部ハルキウ州の要衝制圧 軍参謀
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 4
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    幻の古代都市「7つの峡谷の町」...草原の遺跡から見…
  • 7
    アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性
  • 8
    【クイズ】中国からの融資を「最も多く」受けている…
  • 9
    EUがロシアの凍結資産を使わない理由――ウクライナ勝…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中