最新記事

アメリカ政治

アメリカ初の軍事パレードはトランプ再選に向けた大がかりな選挙集会──独立記念日

What if Trump Turns July 4 Parade into Campaign Rally?

2019年7月4日(木)18時10分
ジェシカ・クウォン

2017年の訪仏時には、エマニュエル・マクロン大統領とともに革命記念日の軍事パレードを観覧。いたく感銘を受け、ワシントンでも米軍の軍事力を誇示するイベントを開催すべきだと言った。この話が伝わった直後から、共和・民主両党から、軍事パレードは多額の費用がかかる上に、挑発的な悪いイメージを与えかねないという反発が相次いだ。

アメリカは軍事超大国でありながら、フランスやロシアや中国のような軍事パレードは行わず、軍事力の誇示を控えてきた。圧倒的な超大国なのに、わざわざ誇示する必要はないというのが歴代政権の伝統的な考えだった。

しかもトランプは、軍事パレードに何百万ドルもの税金をつぎ込むつもりだ。ある財務専門家は公共放送機関ナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)に対して、航空機や軍事設備をイベントに駆り出すのには大変なコストがかかると指摘した。大統領専用機「エアフォースワン」に使われているボーイング747型機は、使用1時間あたり最大25万ドル。また国防総省によれば、儀礼飛行に使われる戦闘機の一部は、1時間のレンタル代が約2万ドルになる。

ジョージア州フォートスチュアート陸軍基地から首都ワシントンまで超重量級の戦車一両を移動させるだけでも、費用は莫大。ホワイトハウスのある側近がUSAトゥデー紙に語ったところによれば、移送費の概算見積もり額は87万ドルだった。戦車が通った後は、削れたアスファルト道路の修繕費もかかる。

費用がかかりすぎるし、独立記念日の祝賀というよりも2020年の大統領選に向けたトランプの選挙集会になっているとして、独立記念日が終わっても批判は続きそうだ。

下院軍事委員会のジャッキー・スペアー下院議員は7月1日、ツイッターにこう投稿した。「トランプはテレビ映えする瞬間をつくろうと必死だ。独裁者は戦争兵器を誇示することで劣等感を補おうとするものだ。何より、金の無駄遣いだ」

cover0709.jpg
※7月9日号(7月2日発売)は「CIAに学ぶビジネス交渉術」特集。CIA工作員の武器である人心掌握術を活用して仕事を成功させる7つの秘訣とは? 他に、国別ビジネス攻略ガイド、ビジネス交渉に使える英語表現事例集も。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエルがガザ軍事作戦を大幅に拡大、広範囲制圧へ

ワールド

中国軍、東シナ海で実弾射撃訓練 台湾周辺の演習エス

ワールド

今年のドイツ成長率予想0.2%に下方修正、回復は緩

ワールド

米民主上院議員が25時間以上演説、過去最長 トラン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 8
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 9
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 10
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥーが解明される...「現代技術では不可能」
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 6
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 7
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中