最新記事

香港

中国政府、香港のデモ隊を威嚇

China Warns Hong Kong Protests Won't Be Tolerated, Backs Carrie Lam

2019年7月30日(火)14時15分
ジェームズ・パターソン

中国政府の出先機関、香港連絡弁公室そばで警官隊と激しく衝突したデモ隊(7月28日) Edgar Su-REUTERS

<中国国務院の香港担当機関が香港返還後初めての記者会見で香港のデモを厳しく非難、「決して許さない」とまで言ったのは、中国の危機感の表れだ>

香港で逃亡犯引き渡し条例の改正案に反対する抗議デモが続くなか、中国政府はついに7月29日、「暴力的なデモは容認しない」と直接的な警告を発した。香港で続いている抗議デモの激化に、中国政府が態度を硬化させつつあることを示している。

中国国務院の香港マカオ事務弁公室は29日、1997年の設立後初めて記者会見を開き、「混乱が続けば、香港社会に悪影響が及ぶだろう」と語った。

<参考記事>住宅街でもデモ、白シャツ集団が警察と談笑、香港最後の正念場へ

香港では7月27日と28日の週末にも抗議デモが続き、28日にはデモ隊が香港西部にある中国政府の出先機関「香港連絡弁公室」を包囲。香港警察がゴム弾や催涙弾でデモ隊に応戦する事態となった。

中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案に反対する抗議デモは、これで8週目に入った。デモ隊は、問題の改正案が成立すれば、中国当局がでっち上げた容疑で誰でも本土に送れるようになると主張。改正案の正式な撤回に加えて、警察と香港政府の複数の幹部の辞任と、警察によるデモ隊への「過剰な実力行使」についての調査を要求している。

人民解放軍出動の憶測が高まる

香港マカオ事務弁公室の徐露穎報道官は29日の記者会見で「暴力は暴力、違法行為は違法行為」だと語り、市民的不服従を容認しない考えを示した。

同報道官は、「香港で最近起きたことは、平和的な行進とデモの範疇を大きく超えており、香港の繁栄と安定を損ねた。『1国2制度』という原則の根幹に触れるものだ」と主張。さらに「法の秩序の下にある文明社会で、暴力行為は決して許さない」と語った。

<参考記事>香港デモの対応迫られる中国政府、人民解放軍の出動も?

会見は、中国政府が1989年の天安門事件の時のように、デモ隊鎮圧のために人民解放軍を出動させるのではないかという憶測が高まるなかで開かれた。

7月28日は、中国政府の出先機関である香港連絡弁公室がある香港西部で、デモ隊がレンガや手製の武器、板ガラスなどを使って、機動隊や「ラプター隊」(特殊訓練を受けた機動隊)の隊員と衝突。報道陣2人と複数のデモ参加者が怪我をした。香港連絡混乱は香港西部にも広がった。香港連絡弁公室は前週末にも、スプレーを吹き付けたり卵を投げつけらたりして、中国当局の危機感を煽ったといわれる。

<参考記事>香港の若者は、絶望してもなぜデモに行くのか

香港政府は29日に声明を発表。「法と秩序を無視し、治安を乱した過激なデモ隊を強く非難する。警察が、全ての暴力行為を阻止するために法を厳しく施行することを、今後も全面的に支持する」と述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:日経平均の底堅さは本物か、「離れ小島」リ

ワールド

EU議員団が訪中、中国製品の安全性と市場開放で圧力

ビジネス

午後3時のドルは158円後半でほぼ横ばい、イラン情

ワールド

インド中銀、8日は金利据え置きか 中東情勢見極め
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引、インサイダー疑惑が市場に波紋
  • 3
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イラン恐怖」の正体
  • 4
    中国がイラン戦争最大の被害者? 習近平の誤った経…
  • 5
    初の女性カンタベリー大主教が就任...ウィリアム皇太…
  • 6
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受…
  • 7
    北京に代わる新都市構想は絵に描いた餅のまま...大幅…
  • 8
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 9
    「え、なんで?」フライト中に操縦席の窓が覆われて…
  • 10
    韓国・週4.5日労働制が問いかけるもの ──「月曜病」解…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 3
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 4
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 5
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 6
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 7
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 8
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 9
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 10
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のS…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中