「韓国の反論は誤解だらけ」
ILLUSION THEORY
幅広く流通している汎用品でも、兵器目的に転用されることがしばしばある。例えば、北朝鮮は先進国から汎用品の電子部品や金属などを不正調達して、弾道ミサイルや無人機等に使用した。このため、海外の取引相手や貨物の用途次第では、経産省の輸出許可が必要になる場合がある。つまり通常、輸出許可が不要な物品でも、兵器転用の懸念が払拭できない取引については、輸出許可が必要になる。これを「キャッチオール規制」という。
世耕大臣は7月3日付のツイートで、韓国にはキャッチオール規制の実効性の面で問題があり、「不適切事案も複数発生していた」と指摘している。事実、韓国国内では、キャッチオール規制の違法輸出が何件摘発されたのか、情報すら開示されていない。
輸出の手間が増えるのは日本
韓国がホワイト国から外れると、日本企業は韓国側との個別の契約ごとに、「キャッチオール規制に関する輸出許可が必要となるか」自分で確認しなければならない(事務手間が増えるのはあくまでも日本企業と経産省であって、韓国企業ではない)。ただし、キャッチオール規制で許可が必要になる輸出は実際には極めてまれで、許可申請件数はほとんど増えないと思われる。
なお、日本にとって韓国以外の「ホワイト国」は現時点(7月17日)で26カ国ある。貿易相手国の大半は「非ホワイト国」だ。韓国がホワイト国から除外されても、対韓輸出に係る手続きがノーチェックではなくなるだけで、ASEAN諸国や台湾向けの輸出に比べれば事務手続き面での負担は軽い。
もう1つ経産省が発表したのは、輸出管理のもう1つの枠組みである「リスト規制」に関する措置だ。軍事転用可能な物品や技術の中でも、特定の品目やスペックを有する物品を輸出する場合には、原則輸出許可の取得が必要とされる。対象となる物品や技術は政令や省令等で定められており、これらの輸出規制は「リスト規制」と呼ばれる。もともと、韓国も参加する国際的な輸出管理レジームで規制対象と定められた物品・技術が大半である。
輸出許可には「個別許可」と「包括許可」の2種類がある。原則は個別許可であり、日本企業は、海外の顧客との輸出契約ごとに経産省から輸出許可を取得する(出荷ごとではない)。これに対して、契約にかかわらず一定期間(3年間)ずっと利用可能な許可を「包括許可」という。
契約に基づく貨物の場合、通常は一度許可を得れば原則その有効期間中に何回でも輸出が認められる。例えば、韓国企業への年間輸出契約に対して個別許可が下りれば日本企業は契約に基づく貨物を毎月、輸出することができる。貨物を輸出する都度、経産省の許可が必要となるわけではない。