最新記事

自動運転

テスラの半自動運転システムで居眠りしたまま高速を50キロメートル走行

2019年6月20日(木)18時00分
松岡由希子

居眠りをした状態で、少なくとも50キロ走行した...... Earliest Info-YouTube

<テスラの高度な運転支援システムは「部分自動運転」で、ドライバーは常時運転監視が義務だが、居眠りしたまま走行させる事件が相次いでいる>

米電気自動車(EV)メーカーのテスラ(Tesla)は、2018年10月、高度な運転支援システム「オートパイロット」をリリースした。周囲の交通状況に応じて速度を調整したり、車線内でステアリングをアシストしたり、縦列駐車や直角駐車をサポートしたりするほか、高速道路に入ると高速走行し、高速道路を出るまで、車線変更やインターチェンジの通過などのガイダンスを行うというものだ。

テスラの「オートパイロット」で居眠り運転が相次ぐ

「オートパイロット」は、自動運転レベルを定めた国際標準「SAE J3016」でレベル2(部分自動運転)に該当し、ドライバーは常時、運転状況を監視するよう義務づけられている。しかし、最近、ドライバーが居眠りをしたまま「オートパイロット」でテスラ車を走行させる事件が相次いでいる。

カリフォルニア州の地域放送局「ABC7」は、2019年6月13日、カリフォルニア州南部の州間高速道路405号線を渋滞ピーク時間帯に走行するセダンタイプの電気自動車「テスラ・モデル3」でドライバーが居眠りをしている動画を公開した。

この動画は現場を目撃した視聴者が撮影したもので、この視聴者は「ドライバーが居眠りしていると気づいた段階で警察に通報したが、ドライバーは高速道路を出る時点でも反応がなかった」と話している。「テスラ・モデル3」は、ドライバーが居眠りをした状態で、少なくとも30マイル(約48.3キロメートル)走行したことになる。


警察がサイレンを鳴らし、ドライバーはようやく目を覚ました

カリフォルニア州パロアルトの地域オンラインメディア「パロアルト・オンライン」によると、2018年11月30日には、カリフォルニア州ロス・アルトス市の都市計画委員会で議長を務めるアレクサンダー・サメック氏が「テスラ・モデルS」を運転中に居眠りをし、国道101号線を時速70マイル(約113キロメートル)で走行させたことで逮捕された。警察は、約7分かけ、サメック氏の「テスラ・モデルS」を7マイル(約11.3キロメートル)先で道路の片側に寄せさせたという。

同様の事件は米国内にとどまらない。オランダ中部のエームネスでも、2019年5月19日、ドライバーが居眠りをした状態で、テスラの自動車が高速道路A27で走行していた。警察がサイレンを鳴らし、ドライバーはようやく目を覚ましたそうだ。ドライバーからはアルコールも検出されている。

幸い、いずれの事件も大きな事故にはつながっていないが、「オートパイロット」の普及がすすめば、同様の事件が頻発する可能性もさらに高まる。ドライバーを監視する機能を追加するなど、何らかの対策を講じる必要がありそうだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

仏中銀、第4四半期は「わずかな成長」 政治的不透明

ビジネス

10月の世界EV販売は23%増の190万台、欧州・

ワールド

欧州委、安保強化へ情報専門部署設置検討 国際的緊張

ワールド

政府、非核三原則を政策方針として堅持=首相答弁巡り
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ギザのピラミッドにあると言われていた「失われた入口」がついに発見!? 中には一体何が?
  • 2
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    コロンビアに出現した「謎の球体」はUFOか? 地球外…
  • 6
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 7
    「流石にそっくり」...マイケル・ジャクソンを「実の…
  • 8
    冬ごもりを忘れたクマが来る――「穴持たず」が引き起…
  • 9
    【銘柄】エヌビディアとの提携発表で株価が急騰...か…
  • 10
    【クイズ】韓国でGoogleマップが機能しない「意外な…
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 7
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 8
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 9
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 10
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中