最新記事

偽写真

1クリックで女性の写真をヌードに変換するアプリ、批判を浴びて5日で削除

2019年6月28日(金)18時30分
佐藤由紀子

リベンジポルノや嫌がらせに悪用される可能性がある...... AaronAmat-iStock

<エストニアに拠点を置く企業が女性の写真を1クリックするだけで、ヌードに変換できる「DeepNude」というアプリを公開して話題になったが、5日後に削除されることになった......>

女性の写真を1クリックするだけで、ヌードに変換できるという「DeepNude」というアプリが6月23日に公開され大きな話題になった。しかし、多くの批判を浴びて27日にはWebサイトごと削除された。

このアプリは、エストニアに拠点を置くDeepInstructionという企業が公開したWindowsおよびLinux向けのアプリ。同社のWebサイト(既に削除されている)のキャッシュによると、同社はAIによる画像処理サービスを手ごろな価格で提供することを目指しているとある。DeepNudeの前に、モノクロの写真を1クリックでカラーにする「DeepOld」というサービスを提供していた。

DeepNudeの紹介文は「あなたの写真から服を取り去ることで友達を驚かせよう」とある。

リベンジポルノや嫌がらせに悪用される可能性

このアプリについて最初に報じた米Motherboardによると、アプリは簡単にダウンロード、インストールできた。お試し版は変換(脱衣)結果の大部分がぼかされて見えないが、50ドル支払うとこのぼかしが消える。画像の左上に赤い文字で「フェイク」と表示されるが、簡単に消せるものだったという。

Motherboardは、変換結果はそれほど精度の高いものではないが、どんな写真にも使えるため、リベンジポルノや嫌がらせに悪用される可能性があると指摘していた。

開発者は偽名でMotherboardからのメールインタビューに答え、このアプリはカリフォルニア大学が2017年にオープンソースで公開した「pix2pix」というGAN(敵対的生成ネットワーク)採用のディープラーニングアルゴリズムを使って開発したと説明した。使ったデータセットはわずか「1万枚以上の女性のヌード写真」。

アルベルトと名乗る開発者はMotherboardのインタビューの時点では、このアプリが物議を醸すとは思っていなかったようで、「今はレンダリングに時間がかかっているが、将来的にはもっと高速になる」と語っていた。

DeepNudeのTwitterアカウントはアプリ公開の3日後、サーバーへのアクセス過多でダウンしたとツイート。27日にはWebサイトをオフラインにしたとツイートした。その理由を「われわれは小さなチームで、これほどのアクセスに対応できない」としていた。

だがその数時間後、DeepNudeの終了をTwitterで告知した。「このプロジェクトはユーザーに楽しんでもらおうと思って立ち上げたものです。(中略)正直なところ、これほどの反響があるとは思っていませんでした」という。「もし50万人がこのアプリを使えば、悪用する人が出てくる可能性は高い」と認め、今後は同種のアプリを提供しないし、このアプリの使用を認めないとしている。DeepNudeをダウンロードして50ドル支払ったがまだ正式版にアップグレードしていないユーザーに対しては払い戻しをするという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

10月ショッピングセンター売上高は前年比6.3%増

ワールド

NASA、ボーイング宇宙船計画縮小 不具合で

ビジネス

中国のビットコイン採掘が復活、世界シェアは第3位

ワールド

米政権、AP通信に対する取材規制の正当性主張 控訴
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 3
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後悔しない人生後半のマネープラン
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 8
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 9
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 10
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 3
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 9
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 10
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中