真っ白な野生のパンダが世界で初めて確認された
South China Morning Post-Youtube
<5月25日、四川省の臥龍自然保護区で真っ白な野生のパンダが世界で初めて確認された>
ジャイアントパンダ(パンダ)は、白と黒にはっきりと分かれた体毛が特徴の大型哺乳類である。現在、四川省や陝西省など、中国の限られた地域において1864頭が野生で生息しており、国際自然保護連合(IUCN)では絶滅の危険性が高い「危急種」に指定されている。
体に斑点がなく、目が赤くなっていた
中国の国営通信社「新華社」は、2019年5月25日、四川省の臥龍自然保護区で真っ白な野生のパンダが世界で初めて確認されたと報じた。
自然保護区内に設置された赤外線カメラが4月20日に撮影した画像によると、このパンダは、体に斑点がなく、目が赤くなっていた。先天的なメラニンの欠乏により、体毛や皮膚が白くなり、瞳孔が赤くなるアルビノ(先天性色素欠乏症)とみられ、臥龍自然保護区で生息する野生のパンダにアルビノの原因遺伝子が存在することを示すものとしても注目を集めている。
2018年には茶色と白のパンダも確認されている
北京大学の李晟博士は、新華社の取材に対して「画像をみるかぎり、このパンダはアルビノで、1歳から2歳だろう。丈夫そうだし、足取りもしっかりしているので、アルビノ変異が日常生活に影響をもたらしていることはなさそうだ」とコメントしている。
アルビノは、パンダのみならず、ヒトを含め、多くの脊椎動物に存在する。アルビノ変異は劣性遺伝子で、両親ともに原因遺伝子を有するときだけ、子どもにアルビノ形質が発現する。基本的な体の構造や機能にはほとんど影響しないものの、アルビノ変異が体内でのメラニン合成を阻害することで、外部から発見されやすく、直射日光に弱くなる。
2018年3月11日には、陝西省の長青自然保護区でも、茶色と白のパンダが確認された。茶の体毛はアルビノ変異によるものとみられている。
カメラを増設してモニタリング
今回、野生の白いパンダを初めて画像でとらえた臥龍自然保護区では、生態系保護のため、7台の赤外線カメラを設置し、野生動物の分布と活動をモニタリングしている。当局は、香港の日刊英字新聞「南華早報」の取材に対し、この白いパンダが成長していく経過や、他のパンダとふれあう様子をモニタリングするべく、カメラの増設を検討していることを明らかにしている。