最新記事

パンダ

真っ白な野生のパンダが世界で初めて確認された

2019年5月28日(火)17時40分
松岡由希子

South China Morning Post-Youtube

<5月25日、四川省の臥龍自然保護区で真っ白な野生のパンダが世界で初めて確認された>

ジャイアントパンダ(パンダ)は、白と黒にはっきりと分かれた体毛が特徴の大型哺乳類である。現在、四川省や陝西省など、中国の限られた地域において1864頭が野生で生息しており、国際自然保護連合(IUCN)では絶滅の危険性が高い「危急種」に指定されている。

体に斑点がなく、目が赤くなっていた

中国の国営通信社「新華社」は、2019年5月25日、四川省の臥龍自然保護区で真っ白な野生のパンダが世界で初めて確認されたと報じた。

自然保護区内に設置された赤外線カメラが4月20日に撮影した画像によると、このパンダは、体に斑点がなく、目が赤くなっていた。先天的なメラニンの欠乏により、体毛や皮膚が白くなり、瞳孔が赤くなるアルビノ(先天性色素欠乏症)とみられ、臥龍自然保護区で生息する野生のパンダにアルビノの原因遺伝子が存在することを示すものとしても注目を集めている。

2018年には茶色と白のパンダも確認されている

北京大学の李晟博士は、新華社の取材に対して「画像をみるかぎり、このパンダはアルビノで、1歳から2歳だろう。丈夫そうだし、足取りもしっかりしているので、アルビノ変異が日常生活に影響をもたらしていることはなさそうだ」とコメントしている。

アルビノは、パンダのみならず、ヒトを含め、多くの脊椎動物に存在する。アルビノ変異は劣性遺伝子で、両親ともに原因遺伝子を有するときだけ、子どもにアルビノ形質が発現する。基本的な体の構造や機能にはほとんど影響しないものの、アルビノ変異が体内でのメラニン合成を阻害することで、外部から発見されやすく、直射日光に弱くなる。

2018年3月11日には、陝西省の長青自然保護区でも、茶色と白のパンダが確認された。茶の体毛はアルビノ変異によるものとみられている。

Quinlingpandabearr.jpg

Qinling "Brown" Panda-wikipedia

カメラを増設してモニタリング

今回、野生の白いパンダを初めて画像でとらえた臥龍自然保護区では、生態系保護のため、7台の赤外線カメラを設置し、野生動物の分布と活動をモニタリングしている。当局は、香港の日刊英字新聞「南華早報」の取材に対し、この白いパンダが成長していく経過や、他のパンダとふれあう様子をモニタリングするべく、カメラの増設を検討していることを明らかにしている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

イスラエルがガザ空爆、48時間で120人殺害 パレ

ワールド

大統領への「殺し屋雇った」、フィリピン副大統領発言

ワールド

米農務長官にロリンズ氏、保守系シンクタンク所長

ワールド

COP29、年3000億ドルの途上国支援で合意 不
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 5
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 8
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 9
    「何も見えない」...大雨の日に飛行機を着陸させる「…
  • 10
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 8
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中