最新記事

自動運転

米大手スーパーが無人運転車による配送サービスを開始

Kroger Debuts Driverless Delivery Cars in Houston

2019年4月19日(金)15時00分
ハンナ・プレストン

現在、複数の企業が無人運転技術の実用化を目指してしのぎを削っているが、安全面の欠点も明らかになっている。

昨年3月、配車アプリ大手のウーバーはアリゾナ州で自動運転車の実験中に、歩行者をはねて死亡させる事故を起こした。報道によると、車は事故当時、時速64キロ前後で走行し、安全のために運転席には運転手も配置されていた。

アリゾナ州の検察当局は今年3月、ウーバーを正式に起訴するのに十分な証拠はないと発表した。

アリゾナの事故は、自動運転車が関係した事故で歩行者が死亡した初めてのケースとみられている。事故を受けて、ウーバーは自動運転車の試験走行を中止したが、昨年12月に「速度を落として、より安全性を確保した環境で」試験走行を再開した。

半数以上が自動運転に「不安」

米調査会社ギャラップが昨年2月に3000人以上の成人を対象に実施した意識調査では、59%が自動運転車に乗ることに不安を感じ、54%が自動運転車を使いたくないと感じていることがわかった。さらに自動運転のトラックと並走した場合に不安を感じる回答者は69%と高い割合だった。

米国電気電子技術者協会(IEEE)の会員、アントニオ・エスピンガルデイロ博士(ロボット工学)は、「実際問題として、自動運転車はすでに数百万マイルの距離を大きな問題なく走行している」と言う。

「信頼構築のためには、自動運転が成功した実例が必要だ。自動運転が十分に活用されれば、もっと簡単で安全で速く、そしてラクに移動ができるようになる」

IEEEの幹部会員で、英ウルスター大学のケビン・カラン教授(サイバーセキュリティ)は、「ロボットが単純作業を引き受け、人々がサイバースペースに夢中になっている世界では、手動運転のほうが『ばかげたこと』とみなされるようになるだろう」と語る。

しかし、いつそうなるかは想像の域を出ない。

「例えば飲酒したドライバーや低年齢、高年齢、身体障害がある人など、法的に運転ができない人たちに対して、自動運転車が新たな可能性を開くことは注目すべきポイントだ」

20190423cover-200.jpg

※4月23日号(4月16日発売)は「世界を変えるブロックチェーン起業」特集。難民用デジタルID、分散型送電網、物流管理、医療情報シェア......「分散型台帳」というテクノロジーを使い、世界を救おうとする各国の社会起業家たち。本誌が世界の専門家と選んだ「ブロックチェーン大賞」(Blockchain Impact Awards 2019)受賞の新興企業7社も誌面で紹介する。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 3
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 6
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 7
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 8
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 9
    注目を集めた「ロサンゼルス山火事」映像...空に広が…
  • 10
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中