韓国スマホ事情:サムスンは業績不振、いっぽう高齢者のスマホ中毒が社会問題化
地下鉄内でスマホを見るソウルの人々 撮影:佐々木和義
<韓国では、サムスンのスマホ事業の不振が不安視されるいっぽう、幼児と高齢者のスマホ中毒が社会問題化している>
サムスンのスマートフォン事業が深刻な不振に陥っている。スマートフォンの販売不振の影響で2018年第4四半期の営業利益が対前年比で30%落ち込んだ。
同じく不振の半導体は起死回生の可能性はあるが、スマートフォンは縮小するパイを奪い合う状況が加速すると見込まれ、サムスンは折りたたみ式のフォルダブルフォンや5Gに期待をかけるが業界は懐疑的だ。
際立つサムスンのシェア低下
2018年第3四半期の世界スマートフォン市場の占有率は、サムスンが19%で首位を守ったが、ファーウェイが14%まで伸び、2位に浮上した。アップルは3位に後退している。年間3億台のスマートフォンを販売してきたサムスンだが、2018年の推定販売数は対前年比7%減の2億9460万台に落ち込んだ。アップルも前年を下回ったが3%減にとどまっており、サムスンの落ち込みが際立っている。
世界スマートフォン市場調査会社のストラテジーアナリティックスは、2019年のサムスンの販売数を2億9000万台と予測する。アップルは前年の2億960万台から微減だが、ファーウエイは2億3000万台規模に拡大するという予測だ。
アップルが2007年にiPhoneを発売してから年ごとに拡大してきたスマートフォン市場だが、2017年に15億台に達したあと減少に転じている。
マイナス成長の要因に、まずは先進国のスマートフォン市場の飽和があげられる。スペックや機能が類似し、革新性もない。これまで通信速度競争を繰り返し、3G世代から4G、LTE、LTE-Advancedと買い替えを誘発してきた。画面も3インチから6インチ台まで拡大したが、最新機種でも消費者が実感する革新はみられない。ケースをかぶせればすべて同じという声すらあり、構造的な問題が大きい。
韓国では、幼児と高齢者のスマホ中毒が社会問題化
いっぽう、韓国ではスマートフォン所有率が95%に達するなか、スマホ中毒が社会問題になっている。近年では、特に幼児と高齢者のスマホ中毒が社会問題として浮上している。
韓国科学技術情報通信部と韓国情報化振興院が2019年2月13日に発表した「2018年スマートフォンや依存の実態調査」によると、韓国人の5人に1人が過依存リスク群に属するスマホ中毒者だった。
スマホ中毒とまで言わずとも、スマートフォンを片手に購入客の商品を清算するコンビニ店員、スマートフォンから目を話すことなく客を呼び込むショッピングモールの店員の姿を目にすることもある。
スマートフォン利用者が最も多く利用するコンテンツはメッセンジャーで、ニュース、インターネットショッピング、SNSが続いている。郵便局は配達状況をメッセンジャーで伝達し、ソウルの都市ガスは通知と請求を印刷出力の戸別配達からメッセンジャーに切り替えた。