最新記事

動物

米大寒波で多くの飼い犬が凍死、飼い主に欠ける防寒の知識

Animal Groups, Police Save Dozens of Freezing US Dogs

2019年2月1日(金)22時50分
ベンジャミン・フィアナウ

受難 犬にはヒートランプさえ与えておけばいい、と思っている飼い主もいる Friends of Indianapolis Dogs Outside/FACEBOOK

アメリカ北西部全域を大寒波が襲うなか、氷点下を大幅に下回る屋外に取り残されて凍死する犬が全米で急増し、動物愛護団体や警察から多くの悲惨なネグレクト(飼育放棄)事例が伝えられている。

氷点下の寒さはペットにも危険、と警察当局や動物愛護団体が広く警告したにもかかわらず、そんなことは意に介さない米中西部の一部の飼い主が犬を外に放置したという。

インディアナ州、アイオワ州、オハイオ州の動物愛護団体の報告によれば、今週は寒波の中で震える犬に関する通報が多く「1年で最も忙しい週」になった。愛護団体の職員たちは周辺地域の住宅を1軒ずつ周り、屋外で鎖につながれたまま凍傷になったり、無人の車内に置き去りにされたりした犬を保護した。凍った水のボウルの隣で死んでいた犬もいた。

米中西部で活動する動物愛護団体の責任者たちは本誌に対し、各自治体は、犬の虐待を減らし、手遅れになる前に警察当局が介入できるよう協力してくれていると語った。

動物保護団体「インディアナポリス・アニマル・ケア・サービス」の1月30日のフェイスブック投稿によれば、過去1週間の通報件数は100件を超えた。「最後に受けた通報は最も耐え難いもので、きっと一生忘れられないだろう。飼い主の男は犬を屋外に放置し、犬は冷たい犬小屋の外で凍えながら夜を明かした。身体を温めるのはタオル一枚だけ。むごい話だが、それだけではない。男は犬をつまみ上げ、ゴミ捨て場にに投げ捨てた」

ネグレクトの悲劇

インディアナ州の慈善団体「フレンズ・オブ・インディアナポリス・フレンズ・アウトサイド」(FIDO)の創設者ダーシー・クルツは1月31日、近隣住民からの通報で向かった無人の車庫で、飢えてやせ細り、脱水症状を起こして凍死した犬を見つけた。ほかにも迷子の犬を12匹保護し、動物虐待の疑いがある事例が120件あったという。


「ぼくも凍えます」 ──氷点下7度(華氏20度)を下回ったら犬を屋内に入れましょう、と訴える愛護団体のキャンペーン

アイオワ州では、同州中部のポーク郡でクロエとソフィーというの犬2匹がプラスチックのクレートの外で、水も食べ物もシェルターもなく鎖につながれていた。アイオワ州では最低気温が氷点下20度になる日もあった。地元紙デモイン・レジスターによると、飼い主のレベッカ・ウッズ(22)は1月25日、動物虐待に関する2つの罪で起訴された。

各地には犬小屋や防寒用の藁を無料で提供したり、ペットを飼うホームレスを対象に寒さをしのげる場所を開放する慈善団体もあるが、供給が追いついていない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ベネズエラ大統領と電話会談 米での会談

ワールド

ネクスペリアに離脱の動きと非難、中国の親会社 供給

ビジネス

米国株式市場=5営業日続伸、感謝祭明けで薄商い イ

ワールド

米国務長官、NATO会議欠席へ ウ和平交渉重大局面
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 4
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 5
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 6
    「攻めの一着すぎ?」 国歌パフォーマンスの「強めコ…
  • 7
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 8
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 9
    エプスタイン事件をどうしても隠蔽したいトランプを…
  • 10
    メーガン妃の「お尻」に手を伸ばすヘンリー王子、注…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 4
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 7
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 8
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 9
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 10
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中