最新記事

AI採用

【就活最前線】採用・不採用は人工知能が決める

How AI Can End Bias In Job Recruitment

2019年1月10日(木)14時30分
ベン・チャットフィールド(人材採用ベンチャーTempoの共同設立者兼CEO)

欠陥の報告こそあったが、AIは採用から性別や人種的偏見をなくし、中立性を維持する役に立つかもしれない。監査を行うなど正しく使用されれば、AIは人間よりはるかに公平な判断を下す。

人間には無意識の偏見があり、制御は不可能であり、ほとんどの場合、認識することさえできない。自分が知っていることを好み、自分と同じ長所を重視するのは、人間の本性だ。今でも昔ながらの「推薦」や「紹介」で採用が決まることは非常に多い。ある種の縁故主義がいまだに残っていることは確かだ。

一方、AIシステムの場合は監査によって、人材評価のバイアスや採用決定の理由が明確に提示される。アマゾンのAIツールは非難の対象となったが、AIシステムの欠陥は人間によるミスと違って、識別可能だ。アマゾンの場合、AIツールが特定の単語をもとに履歴書の評価を下げたことが判明した。履歴書を読んだり、面接をした後に、AIと同じ精度で自分の判断を分析できる人間はほとんどいない。

これほど細部にわたって責任が明確になれば、訴訟もほとんど起こされなくなる。偏見がなかったことを証明でき、システムの潜在的な欠陥がいかに改善されてきたかも指摘できる。企業のポリシーも明確な見識に貫かれたものになるべきだ。女性からの応募がこんなに少ないのはなぜか。はったりがきいた言葉が過度に評価されるのはなぜか。こうした傾向を変えるにはどうしたらいいのか。

AIを駆使すれば、企業側は応募者を選択する基準を設定することができる。候補者探しの段階で多様な背景とそれに基づく多様な問題解決のやり方を提供できる人々を重視するという基準設定も可能だ。そのうえで、AIは雇用主の優先度に基づいて提案を行う。

AIシステムを標準装備に

否定的な報告はあるものの、多くの企業が人材採用AIの活用の範囲を広げている。こうした企業は従来の採用モデルが破綻したことに気付いている。従来と同じプロセスで候補者を選び続けるだけでは、最適な人材確保はむずかしい。人材採用部門が時代に追いつくための突破口となる可能性が最も高いのは、AIの技術だ。

AIシステムはまだ自律的に採用を決定できるほどではないかもしれないが、採用プロセスの迅速化、効率化という点では急速に進歩している。募集職種との適合度に基づいてアルゴリズムが割り出す採用候補者のランキングは、人間による書類審査よりも公平で、時間もかからない。

今後も開発が続くAI技術は、本質的に公正なものではなくてはならない。多様性と平等に焦点を合わせたシステムであれば、職場のためになる人材発掘に役立つことはまちがいない。

(翻訳:栗原紀子)

※2019年1月15日号(1月8日発売)は「世界経済2019:2つの危機」特集。「米中対立」「欧州問題」という2大リスクの深刻度は? 「独り勝ち」アメリカの株価乱降下が意味するものは? 急激な潮目の変化で不安感が広がる世界経済を多角的に分析する。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

インド、2月の貿易赤字縮小 中東緊迫で供給懸念も

ワールド

セネガル・ガーナの反LGBT運動、米団体が支援

ワールド

EU外相、ホルムズ海峡封鎖打開へ「黒海モデル」提案

ビジネス

伊ウニクレディト、独コメルツ銀の30%超取得へ公開
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目のやり場に困る」衣装...「これはオシャレなの?」
  • 3
    「筋肉はモッツァレラと同じ」...なぜウォーミングアップは「2セット」でいいのか?
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    幼い子供たちの「おぞましい変化」を克明に記録...「…
  • 6
    機内で「人生最悪」の経験をした女性客...後ろの客の…
  • 7
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 8
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 9
    ぜんぜん身体を隠せてない! 米セレブ、「細いロープ…
  • 10
    50代から急増!? 「老け込む人」に共通する体の異変【…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 5
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 6
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 7
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 8
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 9
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中