フランス人はなぜゴルフが好きになれないか
ライダーカップで2大会ぶりにアメリカを下し、大喜びの欧州チーム。だがそこにフランス人選手はいない(9月30日) Carl Recine-REUTERS
<有名な欧米対抗のライダー・カップを由緒あるパリ郊外のゴルフ場で主催しながら、フランス人はまるで部外者のよう。この矛盾の理由は?>
9月28日から30日、ライダーカップがフランスで開かれた。2年に一度のアメリカ対ヨーロッパのゴルフ対抗戦で、仏ルモンド紙の言葉を借りれば「サッカーのワールドカップとオリンピックに次いで世界中にフォローされる第3のスポーツイベント」だ。とくに今年は、タイガー・ウッズが復活してアメリカ・チームに参加して注目された。
会場は、ベルサイユ宮殿の先、パリから車で1時間ほどのサンカンタン・アン・イブリーヌの「ル・ゴルフ・ナショナル」。通常「国立ゴルフ場」と訳されているが、正確には、フランスゴルフ連盟のゴルフ場である。ただし、「国立」といってもあながち誇張ではなく、1990年10月のオープン時には当時のスポーツ大臣が列席した。いわば、サッカーにおけるスタッド・ド・フランスに匹敵する国を代表する競技場である。2024年のオリンピックの会場になる。
開会式のあった27日、ルモンド紙電子版は、「なぜフランス人はゴルフが好きではないのか」という記事を配信した。
全仏のようなイベントがない
「1907年、アインシュタインが相対性理論を発表し、世界最初のヘリコプターが艱難辛苦の末に地面を離れて空中に浮いた年、ブリティッシュ・オープンで初めてフランス人、アルノー・マッシーが優勝した。でも誰もその名を知らない」──と、古い映像を使ってコミカルに始まるビデオで、フランスでゴルフの人気がない理由として次のことをあげている。
・フランス選手がまったく結果を出していない。4大メジャー大会では、先のアルノー・マッシーが優勝したほかは、2位が3人出ただけである。
・ゴルフ場が近くになく、遠くまで行かなければならない。ロンドンやエジンバラなどは町の中にあるのに。
・テニスにおけるロランギャロス(全仏オープン)のような衆目を集めるイベントがない。
・「金持ちのスポーツ」というイメージがある。道具、クラブ加入などお金がかかる。競技に時間がかかる。社会的成功のシンボルでもあるが、フランスではそれを誇示するのは嫌われる。