最新記事

イギリス

「合意なき離脱」へのカウントダウン その時何が起こるのか

Brexit Countdown: 6 Months to Go and No Deal in Sight

2018年10月1日(月)19時11分
デービッド・ブレナン

イギリスの小規模企業連盟(FSB)で政策分野を統括するソナリ・パレクは本誌に対し、企業はEUとの最終的な離脱合意がどんなものになるか注視していると語った。パレクによれば、FSBが調査した小規模企業のうち合意なき離脱に備えた行動計画を立て始めているのは14%に過ぎないが、影響を懸念している企業は41%に上っているという。

最近の調査では、小規模企業経営者のうち、移行期間のない合意なき離脱の場合には短期的な悪影響を被ると考えている人が48%に上った。こうした調査結果から浮かび上がるのは「血の気が引くような」未来図だとパレクは言う。

国民の不安を軽減するため、政府は合意なき離脱に備えた対応について説明する文書を公開している。パレクに言わせれば、これは歓迎すべき対応ではあるものの、「長いプロセスの第一歩に過ぎず、時間はあまり残されていない」と語る。

FSBは企業に対して合意なき離脱に備えよとは言っていないが、今月の首脳会議が転換点になるだろうとパレクは言う。もし合意なき離脱がさらに現実味を帯びてくれば、FSBは企業に対し、混乱に備えて現金を持つよう呼びかけるとともに、負担軽減のための補助金を政府に提案するという。

メイ首相の「チェッカーズ案」の不人気ぶり

メイは急激な変化を避ける方向でブレグジットの青写真を立案した。「チェッカーズ案」と呼ばれるこの案では、EUのさまざまな法規制と足並みをそろえたままでのソフトランディングを提案している。メイとその支持者にとって、チェッカーズ案は議会の支持を得て、最終的な離脱協定の是非を問う投票での勝利を目指せる現実的な解決案だ。

だが批判的な人々に言わせれば、これはイギリスをEUの「従属国」にしてしまう案だ。自国の法律も思うようにできず、EUの官僚の好きにされてしまいかねない。

強硬な離脱推進派は、政治抜きの包括的な自由貿易協定をEUと結ぶべきだと訴えている(EUは類似の協定をカナダと結んでいる)。だがアイルランドと北アイルランドの国境問題への答えは提示できていない。

そもそも保守党がチェッカーズ案に期待を寄せたとしても、EUはそれほど乗り気ではない。オーストリアのザルツブルクで9月19〜20日に開催されたEU首脳会議の席上、メイは他のEU加盟諸国からそろってチェッカーズ案を拒絶されるという屈辱的な目に遭った。同案への支持を呼びかける機会になるはずが、総スカンを食ってしまったわけだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ米大統領、代替関税率を10%から15%に引

ビジネス

エヌビディアやソフト大手の決算、AI相場の次の試金

ワールド

焦点:「氷雪経済」の成功例追え、中国がサービス投資

ワールド

焦点:米中間選挙へ、民主党がキリスト教保守層にもア
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 2
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面を突き破って侵入する力の正体が明らかに
  • 3
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官が掲げる「新しいスパイの戦い方」
  • 4
    揺れるシベリア...戦費の穴埋めは国民に? ロシア中…
  • 5
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 6
    「窓の外を見てください」パイロットも思わず呼びか…
  • 7
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 8
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 9
    「高市トレード」に「トランプ関税」......相場が荒…
  • 10
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 3
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 4
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 5
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 6
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 7
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 8
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 9
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 10
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中