米利上げは2021年まで続く?ローン返済を通じて家計を直撃
How High Will Interest Rates Go?
利上げが長引くほど住宅ローンの負担は増える。消費者はどこまで耐えられるのか nopparit/iStock.
<0.25ポイントの利上げで住宅ローンの月々の支払いは100ドル増加。金利がどこまで上がるか消費者は気が気ではない>
米連邦準備理事会(FRB)は9月26日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを決定した。短期金利の指標であるフェデラルファンド金利(政策金利)の誘導目標は1.75〜2%から2〜2.25%に、0.25%ポイント引き上げられた。FRBは米経済の力強い回復に自信を強めており、今後どこまで利上げが進むか注目されている。
政策金利の上昇は、住宅ローン、クレジットカードなどの変動金利や預金金利の上昇に直結するため、アメリカ人の家計に直接的な影響を及ぼす。今年12月にも利上げが実施される見通しで、来年以降も段階的な利上げが続くとみられるが、気になるのは金利がどこまで上がるかだ。
FRBはリーマン・ショック後の景気浮揚策として2008年末に政策金利の誘導目標を0〜0.25%とする「ゼロ金利政策」を実施、2015年末まで続けた。米経済が安定した成長軌道に乗った今、FRBは中立的な水準まで金利を引き戻すため、今年中に4回の利上げを実施すると発表していた。今回は今年に入って3回目、前回から3カ月ぶりの利上げだ。
「金利は今後も上がり続ける」と、個人投資家向け情報サイト「マグニファイマネー」の共同設立者ニック・クレメンツはUSAトゥデーに語った。「ローンを抱える人は家計が苦しくなり、貯金のある人は潤うということだ。ローンがあるなら、今のうちにできるだけ低金利のローンに借り換えたほうがいい」
トランプは不快感あらわ
FOMC参加者からは利上げは2020年で打ち止めになるという見通しも聞かれたが、ジェローム・パウエルFRB議長は記者会見で、米経済は「輝かしい局面」にあるとして、段階的な利上げは「強い経済を保つのに役立つ」と述べた。
バンクオブアメリカ・メリルリンチの短期金利戦略チームを率いるマーク・カバナは2021年まで利上げが続く可能性もあると、CNBCに語った。「データを見れば明らかなように、米経済は引き続き強く、貿易摩擦の最悪のシナリオも杞憂であることがわかった」
政策金利の誘導目標の引き上げは2021年まで続き、最終的に3.5%になると、カバナはみている。
米株式市場は今回の利上げを織り込み済みだったが、FRBの声明から金融政策の運営姿勢は引き続き「緩和的」との文言が削られたため、今後の利上げ動向への不透明感が広がり、株価は終盤に下げに転じた。
「FRBは(景気拡大に)追いつかなければならない」と、ゴールドマン・サックスの主任エコノミスト、ジャン・ハツィウスはニューヨーク・タイムズに語った。
景気の過熱を防ぐために、さらに利上げを続ける必要があるということだ。しかし上げ幅や引き上げのタイミングについてはさまざまな見方がある。ドナルド・トランプ米大統領は、米経済が長年の低成長をようやく脱したとはいえ、利上げを押し進めれば景気の腰を折るとして利上げに反対していた。パウエル議長が政権の意向と距離を置いて利上げを断行したことで、トランプは不快感をあらわにし、住宅ローン金利や企業の資金調達コストが上がり、「景気は悪くなる」とも語った。