最新記事
社会「タトゥーあり」でも就職OK、世の中は変わった
Tattoos and Jobs
見えるところにタトゥーがあっても就職で不利にならない時代が来た JOHN FEDELE-BLEND IMAGES/GETTY IMAGES
<若い世代では既に一般化し偏見も薄れつつある>
若い頃、親からこう言い聞かせられた人も少なくないだろう。入れ墨なんて入れたらまともな職には就けないよ、と。10年のピュー・リサーチセンターの調査ではタトゥーを入れた成人のうち、外から見えない位置にしていると答えた人が72%。かなりの割合に上ったのは、こうした「常識」のせいかもしれない。
だがこのほど学術誌ヒューマン・リレーションズで発表された論文によれば、世の中は変わりつつあるようだ。
マイアミ大学とウェスタンオーストラリア大学の研究チームは、全米50州の2000人以上を対象にタトゥーの有無と職に就いているかどうかの関係を調査。その結果、外から見えるところにタトゥーを入れていても雇用や賃金、収入に影響はないことが判明した。タトゥーの有無による収入格差はほとんどなかったし、タトゥーがあるほうが雇用に有利な例まであったという。ピューの調査でも、アメリカのミレニアル世代(80〜90年代生まれの人々)ではタトゥーを入れている人が40%に達していた。
「特に、見えるところに彫ったタトゥーに対する悪いイメージは弱まっているのかもしれない。自然で普通な自己表現の形として捉えている若い世代の間ではとりわけそうだ」と、論文の主著者であるマイアミ大学のマイケル・フレンチ教授は述べている。「タトゥーは社会に広がっており、採用担当の管理職や上司が差別的な考えを持っていると、最も適任な人材を獲得できないのではないか」
要するに、タトゥーがある人材の採用を嫌がれば、結果として適材適所とはいかなくなる可能性があるということだ。
病院のように、従業員には全てのタトゥーを隠すよう求めている職場もある。だが近年は米陸軍でさえ、規制を緩和している。現在では不快感を招くものでなければ、また頭や顔、首、手や手首以外に入れるのであれば許される。
NBCニュースとウォール・ストリート・ジャーナル紙が99年に行った世論調査では、タトゥーを入れた家族がいると答えたのは21%にすぎなかった。だが14年には、その割合は40%に増えていた。タトゥーが一般化してきたことで差別も消えつつあるということだろう。
[2018年9月 4日号掲載]
2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら