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異常気象気温上昇が自殺の増加を招く──米国とメキシコの大規模調査で確認
気温が上昇すると、自殺率が増加し、抑うつ傾向が強まる Mike Segar-REUTERS
<米スタンフォード大学の研究チームによると、月間平均気温が上昇すると、自殺率が増加し、抑うつ傾向のツイッター投稿も増えることがわかった>
7月23日に埼玉県熊谷市で国内最高気温となる41.1度を記録した日本を含め、この夏はオマーン、アルジェリア、台湾など世界各地で過去最高の暑さを記録している。そんななか、気温上昇が自殺件数の増加を招くという、気になる研究論文が公表された。
メキシコでは1度上昇で自殺率2.1%増
米スタンフォード大学のマーシャル・バーク博士らの研究チームによる論文が、気候変動分野の学術誌「Nature Climate Change」に掲載され、英メディア「ザ・ガーディアン」などが報じている。
研究者らは米国とメキシコで、数十年におよぶ包括的なデータを分析。その結果、月間平均気温が1度(セ氏)上昇すると、自殺率は米国の郡部で0.7%、メキシコの自治体では2.1%増加することがわかったという。
研究者らはまた、ツイッターの投稿600万件以上を調査し、暑さが増す期間には「孤独」「悲しい」「さびしい」といった抑うつ傾向の投稿が増えることを明らかにした。
米・メキシコで2050年までに自殺者4万人増の可能性も
論文では、気候変動による気温上昇が今後も続く場合の自殺者の増加も試算している。国連が2100年までの気温変化を予測した4つのシナリオのうち、最悪のシナリオであるRCP8.5(2046〜2065年に基準年の気温から1.4〜2.6度上昇)の場合、自殺者の数は2050年までに9000〜4万人増えると予測した。
※厚生労働省が所管する自殺総合対策推進センターでは、全国の相談窓口一覧を掲載している。
Study: Suicide linked to Earth's hotter climate-USA TODAY