最新記事

貿易戦争

中国でビジネスを展開する米国企業、7割近くが関税に反対

2018年7月12日(木)19時41分

7月12日、中国で事業を行う米企業の7割近くが、不公平な競争や知的財産権保護の不備などの問題への報復として関税を活用することに反対していることが分かった。写真は上海の金融街に立ち並ぶビル。2013年11月撮影(2018年 ロイター/Carlos Barria)

中国で事業を行う米企業の7割近くが、不公平な競争や知的財産権保護の不備などの問題への報復として関税を活用することに反対していることが分かった。在上海米国商工会議所が12日公表した中国のビジネス環境に関する年次調査で判明した。調査は4月10日─5月10日に実施した。

調査によると、回答した434社のうち69%が関税に反対した。関税に賛成したのは8.5%にとどまった。

調査結果を受けて、米国商工会議所は「米中がそれぞれの国民の利益となる健全で長期的な商業関係を築くには、問題を公正に解決することが肝要」との声明を発表した。

ジャレット会頭は「中国の外国企業を悩ませる市場アクセスの問題については、長年交渉が行われているが、進展は極めて遅い。中国の注意を引いたという点で、トランプ政権の行動は評価できる」と述べた。

一方で会頭は、今回の調査結果を見る限り、多国間交渉が望ましいということが分かったと指摘。「米政府が中国の注意を引くことができた今、交渉のテーブルに戻る以外に選択肢はない」との見方を示した。

調査によると、米企業は中国で引き続き問題に直面しているものの、34%が外国企業に対する中国政府の政策が改善したと感じており、この割合は昨年調査の28%から上昇した。外国企業を巡る政策が悪化したとの回答は、33%から23%に低下した。ただし、中国の規制環境が不透明との回答は60%に達し、昨年の調査と同水準だった。

規制絡みでは、知的財産権保護の不十分さと、ライセンス供与の義務付けが2大問題に挙げられた。トランプ政権は、米企業が中国市場にアクセスするために主要技術の移転を強要されていると主張している。

調査によると、21%が技術を移転するよう圧力を感じていると回答。この割合は航空宇宙と化学がそれぞれ44%、41%と高かった。

市場アクセス拡大のための手段としては、42%が互恵的投資が望ましいと回答し、昨年の40%から上昇。ただ反対の割合も9%から16%に上昇した。分からないとの回答は44%から31%に低下した。

調査では、53%の企業が2017年に中国で投資を増やしたと回答し、この割合は前年の55%から低下した。74%が中国投資を拡大したと回答した2012年をピークに、投資の伸びは鈍化傾向にある。

[上海 12日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン最高指導者、米の協議申し出を拒否 核能力消滅

ワールド

米政府閉鎖、今週中に終了の公算大=NEC委員長 

ワールド

ゼレンスキー氏、トランプ氏との会談「前向き」 防空

ワールド

豪、中国軍機の照明弾投下に抗議 南シナ海哨戒中に「
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 5
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 6
    ニッポン停滞の証か...トヨタの賭ける「未来」が関心…
  • 7
    ギザギザした「不思議な形の耳」をした男性...「みん…
  • 8
    【インタビュー】参政党・神谷代表が「必ず起こる」…
  • 9
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 10
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 5
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 8
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 9
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 10
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中