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コロンビア大統領選に勝利、ドゥケは半世紀ぶりの和平を危険にさらす?

2018年6月19日(火)18時29分
ロバート・バレンシア

ドゥケはかつて、児童虐待や殺人への刑罰を重くする法案を提出したことがあるほか、量にかかわらず薬物所持を禁止することを提案したこともある。だが警察力の強化を目指したとしても、国内の治安状況は改善しそうにない。

「少なくとも当面は、犯罪は増加するだろう。今年の1~4月の殺人の件数は前年の同じ時期と比べて11%も増加している。武装・犯罪組織が細かく分裂し、互いに競合しているのが大きな理由だ」と、人権団体「ラテンアメリカに関するワシントン・オフィス」のアダム・アイザックソンは本誌に語った。

「もう1つの理由は、コロンビア政府が和平合意というチャンスを生かして元戦闘員を社会復帰させ、(ゲリラの支配下にあった)地方での存在感を強めるのに失敗したことだ。紛争の多いコカ栽培地帯には今も政府の手が届いていない。そうした真空地帯をどう埋めていくかについて、古くさい強権的なアプローチ以外のドゥケの提案を私は寡聞にして聞いたことがない」とアイザックソンは言う。

ドゥケは、ゲリラに対してより強い姿勢を取り、2016年に結ばれた和平合意を修正することを提案している。支持者の一部はドゥケのこうした姿勢について、必ずしもドゥケが合意を「破棄」しようとしているとは限らない、と述べている。

「麻薬密売人や性的暴行犯が、法の裁きを受けないことなど考えられない」とゲラは話す。「和平合意で、ゲリラになっても得にならないことを示す必要がある」

バレンシアは、ドゥケが何より優先すべき事柄の1つはコカ栽培の取り締まりだと考えている。ロサンゼルス・タイムズ紙によると、コカの年間生産量は、過去2年にわたって50%の増加率が続いており、栽培面積は約10万ヘクタールに及ぶ。「多くの地域が違法薬物に依存しているせいで、暴力沙汰が起きている」とバレンシアは述べる。「コロンビア政府はこれらの地域を取り締まらなくてはならない」

ドゥケを待ち受けるもの

コロンビアは、経済の低迷や汚職の横行、社会格差や壊滅的状況の医療制度といった課題の解決に取り組んできた。とはいえ、今後4年間かけたとしてもある人たちにとっては事態はまったく改善しないだろう。

「コロンビアの経済は悲惨な状況であり、悪化の一途をたどっている。財政赤字は膨らみ、医療制度は、汚職のせいで崩壊寸前だ」と言うのは、左翼政党のオルタナティブ民主極(Alternative Democratic Pole)に所属し、今回の大統領選ではどの候補者をも支持しなかったホルヘ・エンリケ・ロブレドだ。「私はわが国について悲観している。白票を投じたのは、どの候補者にも納得できなかったからだ。現在のサントス政権は、1990年以来の悲惨な経済を置き土産にした」

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