研究チームは訓練後、ラットを囲いに入れ、匂いの順番に関する記憶を検証した。プラスチック蓋を置く位置のパターンは、実験ごとに多少変えた。ご褒美のエサを与えるのは、最後から2番目か4番目の匂いを当てた時とした。

ラットが単に知っている匂いを当てにするのでなく、順序を思い出していることを確認するため、研究チームは実験ごとに、匂いの種類の数を変更した。

その結果、ラットは実験全体の87%で見事正解したことが分かった。研究チームによれば、それはラットがエピソード記憶を再生できることを示す有力な証拠だという。

チームは追加実験を実施し、それらの記憶は長続きし、他の記憶の「介入」による影響を受けにくい、ということも証明した。両方ともエピソード記憶の特性に合致するものだ。さらに、ラットがエピソード記憶に関わるとされる脳の「海馬」で匂いの順番を覚えていたことも確認できた。

クリスタルに言わせれば、人間以外の動物で初めてエピソード記憶が確認できたことで、アルツハイマー病で起きる障害をより正確に動物実験で再現できることを意味する。そうすれば、動物で有効だった新薬がアルツハイマーには効かなかったという失敗も減らすことができるという。

(翻訳:河原里香)

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