それでも、質を確保するためには無制限に学生を受け入れるわけにはいかない。予算の問題もある。そこに定員オーバーが生じる。公表こそされないがこれまでも、先着順や抽選、成績などによる選別が行われてきた。それを、今回公然と選別ができるようにしたのである。
だが、成績選別を導入すると、小中学校から勉強に専念できる余裕のある家庭の者が有利になる。格差の助長にもつながると、学生たちは反発する。これは現にエリート養成校のグランゼコール入学者に起きており、進学率の高い名門高校では公立であるにもかかわらず貧乏人や移民の子に対する差別が平然と行われている。
ということで大学占拠が起きたのだが、運動は不発だったと言わざるをえない。
萎む抵抗と「壊し屋」
たとえば2月1日にはパリで、国会審議が大詰めを迎えた「学生の進路と成功法」に反対する主催者発表1万人(警察発表2400人)のデモが行われたが、1986年の大学改革法のデモでは50万人の動員があった。一昨年の労働法改革でもパリで15万人(警察発表6万人)、地方でも数千人のデモになった。今年のデモはいずれも1ケタ少ない。
4月10日のデモの後には、200名ほどの学生がパリの学生街カルチェラタンのシンボルともいえる第4大学ソルボンヌ校舎を占拠したが、3日で排除された。今回は、よくある再占拠もとくになかった。
占拠校の数も、最盛期でも全国67の大学のうち10~15にとどまった。それもいくつかの例外を除いてメーデー前までにほぼすべてが機動隊に排除された。
メーデーに来ていた学生は「運動は終わっていない。またすぐ燃え上がる」というが、5月は年末の試験で、その後は夏休み、そして何もなかったかのように新学年を迎える公算が大きい。
この学生は来年も同じように労働者たちと手をつなぎ、スローガンを叫びながらデモをするのだろうか。それとも、黒づくめで最前列に紛れ込む「壊し屋」になるのだろうか。

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