サルにさらわれた赤ん坊、井戸で見つかる
事件のあった村では、住民がサルに襲われる事件が続いていた Carlos Jasso-REUTERS
<生後わずか15日の赤ちゃんは、サルと人間の縄張り争いの犠牲になったのか>
インド東部のオリッサ州カタック県で3月31日、生後2週間の男児が消えた。サルにさらわれたとみられている。地元当局が捜索したが、事件発生から24時間後、赤ちゃんは自宅近くの井戸から遺体で発見された。
事件が起きたのは、午前6時前後。赤ちゃんは、タラバスタ村の自宅で母親と寝ていたところを、サルに連れ去られたという。
インドの日刊紙インディアン・エクスプレスによれば、赤ちゃんの叔母に当たるラージナンディニ・ナヤックは取材にこう話している。「サルは、蚊帳の中にいた赤ちゃんを連れ去った。母親は驚いて声を上げたが、サルは家の屋根を跳び越えて視界から消えた」
警察の要請を受けて、森林局員や消防隊員が現場に駆けつけ、大規模な捜索活動が開始された。住民と共に村の近くの森林にローラー作戦をかけて赤ちゃんを探した。
ダマパダ森林警備隊が率いる森林局の捜索隊は、3つに分かれて森を探した。だが、赤ちゃんが抱えていたある事情で、捜索は困難を極めた。
生まれつきの障害も災い
「さらわれた赤ちゃんには声を上げられない障害がある。泣き声を頼りに探すこともできない」と、森林局の職員は、ビジネス・スタンダード紙に説明した。
この赤ちゃんは生まれた時から泣き声を上げることができず、そのため小児科病院に入院していた。家族が待つ家に帰されたのは、事件が起きるわずか3日前だったという。
捜索にあたった森林局の職員たちは、家とその付近も探したが、この時は井戸でも何も見つからなかった。
結局、井戸に落ちた遺体を発見したのは、赤ちゃんの叔母だった。井戸で見つかった経緯については警察が捜査中だが、井戸はふだん、ふたをされていたという。
赤ちゃんの父親、ラーマクリシュナ・ナヤックは、「息子はサルが手を離したせいで落ちたのかもしれない」との見方を示している。
バンキ警察署の捜査官、ビスワランヤン・サフーは、「サルは、現場を去った直後に、誤って赤ちゃんを井戸に落とした可能性が高い」と、日刊紙ヒンドスタン・タイムズに語った。
赤ちゃんの遺体は検視のため、地元の病院に預けられている。