最新記事

カラー三次元動画

「レイア姫のホログラム」へ一歩前進 レーザー光によるカラー三次元動画の投影に成功

2018年1月26日(金)20時00分
高森郁哉

「レイア姫のホログラム」へ一歩前進 The Dan Smalley Lab at Brigham Young University-the journal Nature

何もない空間に、立体的な画像や映像を映し出す。SF映画でお馴染みのホログラムの実現に、また一歩近づいたのかもしれない。米ブリガム・ヤング大学の研究者が、レーザー光を使って空間に極小の「映像」を投影する技術の開発に成功したと発表。英学術誌「ネイチャー」に論文が掲載された。

「レイア姫のホログラム」とは

1977年公開の映画『スター・ウォーズ 新たなる希望』に、ドロイド(ロボット)のR2-D2が空間にレイア姫の立体的なホログラムを投射するシーンがある。このシーンから、立体的なホログラムが「レイア姫のホログラム」と呼ばれるようになり、これまで多くの研究者が実現に向けて取り組んできた。

だが、これまでに開発された「ホログラム」は、高速回転する平面ディスプレイに投射したり、ガラスなどの透明な箱の中に投射したりする方式で、視野角が狭い、専用メガネが必要といった制約があり、レイア姫のホログラムにはほど遠い技術だった。

ブリガム・ヤング大の技術

同大学のダニエル・スモーリー博士が率いる研究チームは、植物繊維セルロースのごく小さな粒子を、ほぼ無色のレーザー光で捕らえ、動かす手法を開発。別のレーザーで、この粒子に色の付いた可視光を投射することに成功した。

像(イメージ)が毎秒10回以上の速いレートで連続して投射されると、人間の目では個々の像を見分けることができない。そのため、光を投射した粒子を十分な速さで動かすと、粒子の軌道が実線のように見えるという。

ただしスモーリー博士の研究チームは、この技術をホログラムとは呼ばず、自由空間体積型ディスプレイのプラットフォーム、通称「光学的トラップ・ディスプレイ」と名付けている。


日本の先駆的研究

ネイチャーの記事によると、スモーリー博士の研究は、独立行政法人産業技術総合研究所(産総研)、バートン、慶應義塾大学の共同研究による「実像の3Dディスプレイ」にインスパイアされたという。こちらの方式では、レーザー光を空間中でフォーカスさせて、焦点近くの空気をプラズマ化して発光させ、空中に光のドットで構成される3次元映像を表示する仕組みだ(産総研の発表)。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

豊田織機の非公開化報道、トヨタ「一部出資含め様々な

ビジネス

中国への融資終了に具体的措置を、米財務長官がアジア

ビジネス

ベッセント長官、日韓との生産的な貿易協議を歓迎 米

ワールド

アングル:バングラ繊維産業、国内リサイクル能力向上
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 7
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 8
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 9
    ビザ取消1300人超──アメリカで留学生の「粛清」進む
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中