最新記事

265年に1度? 31日夜、「スーパー・ブルー・ブラッドムーン」が空を彩る

2018年1月30日(火)17時20分
松丸さとみ

2015年のブラッドムーン(赤い月) Arnd Wiegmann-REUTERS

<31日、満月が通常よりも大きく見える「スーパームーン」と、月に2度目の満月となる「ブルームーン」、そして皆既月食により月が赤っぽく見える「ブラッドムーン」がすべて同時に起こる>

スーパー・ブルー・ブラッドムーンとは?

時折、ふと空を見ると異様に赤くて大きな満月がぽっかり浮かんでいてびっくりした、という経験はないだろうか。31日の夜は、そんな月が見られると予測されている。しかも今回は、地域によっては約150年ぶりという、非常に珍しい天体イベントだ。

31日に楽しめるのは、「スーパー・ブルー・ブラッドムーン」と呼ばれる現象だ。月の距離が地球に最も近くなる「スーパームーン」と、月に2度目の満月となる「ブルームーン」、そして皆既月食により月が赤っぽく見える「ブラッドムーン」がすべて同時に起こる。

科学系のニュースサイト「Phys.org」によると、スーパームーンは通常の月と比べると14%大きく、30%明るく見える。頻度としては、スーパームーンは年に4〜6回、ブルームーンは、2年8カ月に1回、皆既月食は年に2回以上、それぞれ起こるものらしい。つまり、それぞれ単体で考えるとわりと頻繁に起こっているようだが、これが3つ同じタイミングで起こるというのが、珍しいようだ。


では、実際どのくらい珍しい天体現象なのだろうか? 英語メディアは、「150年ぶり」と興奮気味に報じている。というのも、北米でスーパー・ブルー・ブラッドムーンが前回見られたのは1866年3月31日だったからだ。

しかし宇宙や天文学のニュースを扱うサイトspace.comによると、日本を含む東アジアでは、1982年12月30日にスーパー・ブルー・ブラッドムーンが起こっていた。というのも、ブルームーンは月に2度目の満月である必要があるが、12月30日の前の満月は東半球では12月1日だった。このためブルームーンになったのだが、北米では11月30日に満月になっており、12月30日はその月初めての満月で、つまりはブルームーンにはならなかったのだ。

ということで、北米では約150年ぶりの珍しい現象ではあるが、日本では約36年ぶりとなる。しかし、かと言って珍しくないわけでは決してない。米誌フォーブス電子版は、いかに珍しい出来事であるかを計算し、全ての満月を100とすると、スーパームーンが起こる確率は約25%、ブルームーンは3%、皆既月食は5.6%とはじき出した。つまりこれが全て同時に起こる確率は、0.042%になるという。満月2380回に1度起こることになり、計算上、平均して265年に1度の出来事らしい。

夜は南東の空に注目

アメリカ航空宇宙局(NASA)によると、アジア、オーストラリア、ニュージーランド、東ロシア、中東にいる人は、今回のスーパー・ブルー・ブラッドムーンを、1月31日に月が出てくる時刻に楽しむことができる。北米の西海岸、アラスカ、ハワイにいる人は、同日の日の出前になるという。

今回の皆既月食は、日本のどこででも最初から最後まで観測可能だ。space.comの前述とは別の記事によると、日本では午後7時51分に地球の影が月に落ち始める(半影)。そして日本の国立天文台ウェブサイトによると、20時48分に月が欠け始め(本影)、21時51分に完全に地球の影に隠れる皆既食になるという。この皆既食は23時08分まで1時間17分続くらしいので、たっぷり楽しめそうだ。今のところ、天気予報は晴れ。この時間は、南東から南の空を注目しよう。

なお、万が一見逃してしまった場合は、NASAのサイトでライブストリーミングが行われるらしいので、諦めずにそちらをどうぞ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

豊田織機の非公開化報道、トヨタ「一部出資含め様々な

ビジネス

中国への融資終了に具体的措置を、米財務長官がアジア

ビジネス

ベッセント長官、日韓との生産的な貿易協議を歓迎 米

ワールド

アングル:バングラ繊維産業、国内リサイクル能力向上
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 7
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 8
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 9
    ビザ取消1300人超──アメリカで留学生の「粛清」進む
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中