最新記事

飲酒

飲むお酒の種類で気分が変わる──ワインはリラックス、蒸留酒は...

2017年12月8日(金)16時30分
松丸さとみ

飲むお酒の種類で気分が変わる andresr-iStock

蒸留酒はネガティブな感情を引き起こしやすい?

人は飲むお酒の種類によって、酔った時に抱く感情が異なることが分かった。ワインはリラックスした気分やセクシーな気分に、蒸留酒は自信を抱いたり攻撃的になったりしやすいようだ。

調査を行なったのは、英国の公的機関の研究者や大学教授などのチームで、結果はBMJオープン・ジャーナルに発表された。調査はオンライン・アンケートの形で実施。お酒の影響で起こる感情は、お酒の種類やお酒への依存度、社会人口学的要素によって変わるのかなどを調べた。今回調査対象となったのは、蒸留酒(ウォッカなど)、赤ワイン、白ワイン、ビールの4種類。

アンケートでは、これまでの1年間で飲んだ酒類と状況、どんな感情を抱いたかを聞いた。感情は、ポジティブなもの(元気になる、自信を抱く、リラックスした気分になる、セクシーな気分になる)とネガティブなもの(疲労を感じる、攻撃的になる、気分が悪くなる、落ち着きがなくなる、涙もろくなる)の9種類。

調査結果によると、蒸留酒が最も感情の変化を起こしやすいようだ。蒸留酒を飲むと自信を感じる、と回答した人が59%で、どの酒類よりも多かった。また「元気になる」と答えた人も58.4%と高かった。一方でネガティブな感情を抱く人も多く、「気分が悪くなる」という人は他の酒類と比べ飛び抜けて多かった(47.8%。2位の赤ワインは19.2%)。

ネガティブな感情で唯一、蒸留酒を上回ったのが、赤ワインの「疲労を感じる」(60%)だった。赤ワインは一方で、ポジティブな感情の「リラックスした気分になる」(52.8%)も一番多かった。また、ビールも49.9%の人がリラックスすると回答した。

お酒を飲む目的の違いで抱く感情も異なる

デイリーメールによると、アルコールそのものは「エタノール」という化学物質で、酒の種類は何であれ化学的にはどれもほぼ同じだという。ただ、蒸留酒はビールやワインと比べ度数がずっと高いことや、飲み方の違いなどが、引き起こされる感情が異なる原因になっている可能性もあるようだ。

今回の調査を行なったマーク・ベリス博士はデイリーメールに対し、食事と一緒にゆっくりと飲むワインなどと違い、すぐに酔いたいから、と意図的に蒸留酒を選ぶ人もいるかもしれない、と話す。

また、リラックスしたいからと赤ワインを飲む人はその通りに赤ワインを飲んでリラックスした気分を味わうだろうし、パーティで楽しむためにウォッカを飲む人は、ウォッカを飲んだから元気になった、と感じるだろう、と指摘。お酒を飲んで抱く感情には、その飲み物が果たす役割への期待も無関係ではないだろうと分析している。

なお、地域的な特徴については、イタリアに住んでいる人たちは、赤ワインを飲んだ時に元気になると感じることが多い一方で、コロンビアの住人が元気になると感じるのは蒸留酒が多い、などの違いが見られた。

ベリス博士は今回の調査について、「飲酒と感情の関係を理解することは、アルコール乱用の問題に取り組むのに必要不可欠」だと説明している。

この調査は、英国に拠点を置く世界最大の薬物調査団体グローバル・ドラッグ・サーベイが2015年11月〜2016年1月、オンライン・アンケートの形で行なった。アンケートは11カ国語(英語、ドイツ語、ギリシャ語、ポーランド語、フランス語、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語、フラマン語、ハンガリー語、デンマーク語)で行われ、各国の新聞や雑誌などのメディアで回答者を募った。データは9万件弱集まったが、今回の調査対象となったアルコール飲料(蒸留酒、赤ワイン、白ワイン、ビール)の全種類を過去12カ月間に飲んだと答えた人に限定し、年齢を18〜36歳に絞って、21カ国2万9836人分のデータを分析した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

豊田織機の非公開化報道、トヨタ「一部出資含め様々な

ビジネス

中国への融資終了に具体的措置を、米財務長官がアジア

ビジネス

ベッセント長官、日韓との生産的な貿易協議を歓迎 米

ワールド

アングル:バングラ繊維産業、国内リサイクル能力向上
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 7
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 8
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 9
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中