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合法化拡大で成長の大麻ビジネス 膨らむ商機に転身するITエリートたち

2017年12月12日(火)13時49分


リスクマネジメント

同業界に投資する一部の投資家は、大麻そのものを栽培・販売する企業よりも、テクノロジーやサポートサービスを提供する企業に目を向けている。法的リスクが少ないからだ。

そのなかには、「ハイゼア」や「My420Mate」のようなマリフアナ使用者のためのデートアプリや、大麻の栽培方法を教えるアプリ「ウィーグロウ」などが含まれる。「HelloMD」は、医師とマリフアナを使用する患者をつなぐインターネット上のプラットフォームだ。

マリフアナ市場が成熟しつつあるという兆候の1つに、取引データを収集したり、指導価格を提示したりする情報サービスの発展がある。同様のサービスは、石油・ガスやトウモロコシ、綿など広くコモディティー市場に見られるものであり、市場参加者に相場のベンチマークとして使われている。

投資家はまた、北米大麻関連企業の上場投資信託「ホライズンズ・メディカル・マリフアナ・ライフ・サイエンシズETF」のような指数を利用して関連企業の価格推移を追うことも可能だ。

このETFは過去3カ月で約70%上昇。主なけん引役は、医療用大麻を栽培・販売するカナダ企業キャノピー・グロースやアフリアで、両社の株価は今年それぞれ112%、132%上昇している。

「大麻ビジネスはリスク裁定取引と言える。リスクが高いが故に高リターンのチャンスが生まれる」。前出Eazeのジム・パターソン最高経営責任者(CEO)はこう語る。「投資家はそれを分かっている」

ただし、大麻合法化に対する支持が米国民のあいだで広がり、業界も雇用を創出し、税収入も上げていることから、長期的なリスクが低下する可能性がある。

米国民はまた、違法な大麻使用を防止することの無力さを一段と認識しつつあるようだ、と調査会社「ニュー・リーフ」の共同創業者で弁護士のイアン・レアード氏は言う。

「禁止措置の進化、あるいは撤廃は避けられない。それは、誰であれ入手を阻止するというようなものではない」

(翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

Angela Moon and Chris Prentice

[6日 ロイター]


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Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

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