概ね幸福なEU市民 でも1カ国だけ例外が──EUライフスタイル調査
毎日喫煙する女性が最も多いのはオーストリア(22.5%)。これは、オーストリアを訪ねたことのある人には納得の結果かもしれない。2016年ごろから少しずつ飲食店など屋内での喫煙が規制され、2018年5月には禁止となる見込みだが、それでもオーストリアではごく最近まで屋内や、バス停など公共の場での喫煙がふつうだった。学生の喫煙率も高いようだ。ちなみに男性一位はキプロスの39.6%。オーストリア男性は27.0%で、EU平均の23.8%よりやや高い程度だ。
その他、余暇に関するデータでは、EUでは男性のほうがインターネットを活用し、男性はニュース閲覧、女性はSNSの使用が多いとなっている。オンラインショッピング使用率はほぼ同等だが、男性は電子機器、女性は衣類の購入が多い。
ちなみに、本をいちばん読むのは男女共スウェーデンで、15歳以上の男性54%、女性78%が年に5冊以上読むと答えている(2015)。
子どものいる女性は雇用率が高い?
平均して、男性の雇用率は女性の雇用率よりも高い(それぞれ72%と61%、15〜64歳、2016)が、加盟国の多くで、雇用率の差が子供の数により変動する傾向があることが注目されている。 子どもがいない場合、女性65%、男性は73%だが、子ども1人の場合、女性71%、男性85%、 2人の場合女性70%、男性89%となる。3人以上の場合、雇用率は減少し、女性55%、男性84%となる。
被雇用者のうち、女性は31.9%がパートタイムである一方で、男性は8.8%のみだ。パートタイムの女性が多いのはオランダ(76.4%)、オーストリア(47.1%)、ドイツ(46.4%)で、男性は全体に少ないが、オランダが他国を大きく引き離している(26.2%)。パートタイムが最も少ないのは男女共にブルガリアだ(2.2%, 1.8%)。
おもに大学以上の高等教育を受けたEU市民の割合は男性28.9%, 女性32.5%で女性のほうが多く、さらに3人に1人が女性管理職であり、ラトヴィアの47%をはじめ、ポーランド、スロヴェニア、ハンガリーなど東欧でより多いようだ。ただし、収入は平均して女性が16%低い。
ドイチェ・ウェレは、欧州ジェンダー平等研究所(EIGE)の別の調査結果で、ドイツの男女均等は28カ国中12位、インデックスにして65.5 で、EU平均の66.2 (2015)を下回ったことを分析し、ドイツ女性は社会・人文科学を学ぶ傾向が強く、科学技術を学ぶ男性との賃金格差ができてしまったのではないかと分析している。EU全体でも女性のほうが高等教育を受けているにもかかわらず平均収入が低いのは、こんなところにも原因があるかもしれない。余談だが、人文系の学問はドイツ語でBrotlos(パンのない=収入につながらない)と呼ばれることもある。
暮らし方もまちまちに
EUの平均寿命は、女性83.3歳、男性77.9歳(2015)。人口でみるとEU全体で男性よりも女性が5%ほど多くなっているが、18歳以下の若者では反対に女性よりも男性が5%多くなる。一方、65歳以上の高齢者層では、女性が33%増える。