最新記事

ペット

犬を飼うと長生きに! おひとり様に特に効果大

2017年11月30日(木)17時45分
松丸さとみ

犬を飼っている人は死亡するリスクが33%低減 PhotoTalk-iStock

犬を飼う単身者は死亡リスクが3割減

犬を飼うことで長生きできる----スウェーデンで340万人以上を対象に行なわれた研究で明らかになった。

ウプサラ大学のトーべ・ファル准教授らのチームが、犬を飼うことと心臓病との関係を研究し、オンラインの科学誌サイエンティフィック・リポーツに発表した。

ウプサラ大学のチームは、2001年の時点で40〜80歳の、心臓に健康上の問題を経験したことがない人たち340万人以上のデータを12年間にわたって調査した。そこから、犬を飼っていると、心臓病やその他の死因で死亡するリスクが低くなることが分かった。その傾向は、特に一人暮らしの人に顕著に見られたという。

ウプサラ大学の発表文によると、単身者の場合、犬を飼っている人は飼っていない人と比べ、死亡するリスクが33%低減し、心筋梗塞のリスクは11%低かった。

筆頭著者の1人、ウプサラ大学博士課程の学生、ムニャ・ミュバンガさんによると、単身者はこれまで、複数の人と暮らす人たちと比べて心臓病にかかるリスクや死亡するリスクが高いとされていた。単身者のうち犬を飼っている方が飼っていない場合と比べ死亡率が低いということは、犬が「大切な家族の一員」という役割を果たしているのではないか、と今回の結果を分析している。

運動や人との触れ合いが増えることも要因?

この研究は、国が有する7つのデータベースから情報を抽出した。スウェーデンでは、日本のマイナンバーと類似のものだと推測される、固有の認識番号が国民一人ひとりに与えられているという。病院で診察を受けるたびに診断内容がこの番号に紐づけられて記録される。そうしたデータは個人が特定されないように匿名化された後、研究者らが利用できるようになる。

ウプサラ大学が今回使用したのは、このようにして集めたデータだ。またスウェーデンでは、2001年以降は犬を飼う場合に届け出が必要になったため、今回使用したデータベースには、このような犬の登録簿も含まれるという。

研究者らは、犬を飼っていると心臓病や死亡のリスクが低下する理由について、犬を飼うことで、社会的な孤立や気分の落ち込み、孤独などの心理的なストレスが緩和されるからではないか、と考えている。犬を飼っている人の方が、孤立や気分の落ち込みなどが原因の心理的ストレスが少ないということを示す研究は、過去に発表されているという。

トーべ・ファル准教授はさらに、犬を飼っている場合、飼っていない人と比べ身体的なアクティビティが多くなるため、今回のような調査結果につながるのかもしれない、と推測している。

また、飼い犬のおかげで社会的な関わりが増える、などの可能性も指摘している。さらに、もともと活動的な人が犬を飼う傾向があるなどで、犬を飼う前から「飼う人」と「飼っていない人」の間には違いがあるのかもしれない、とも述べている。


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

中国、米国に抗議 台湾への軍用品売却で

ワールド

バングラデシュ前首相に死刑判決、昨年のデモ鎮圧巡り

ワールド

ウクライナ、仏戦闘機100機購入へ 意向書署名とゼ

ビジネス

オランダ中銀総裁、リスクは均衡 ECB金融政策は適
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生まれた「全く異なる」2つの投資機会とは?
  • 3
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地「芦屋・六麓荘」でいま何が起こっているか
  • 4
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国…
  • 5
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 8
    レアアースを武器にした中国...実は米国への依存度が…
  • 9
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 10
    反ワクチンのカリスマを追放し、豊田真由子を抜擢...…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中