最新記事

動物

ヒツジは想像以上に賢い! オバマやエマ・ワトソンを識別していた

2017年11月8日(水)18時30分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

主任研究者のジェニー・オルトン博士率いる研究チームによると、ヒツジが2枚の写真を前に戸惑っているような瞬間に、識別しているという。社会性の高い動物であるヒツジは、仲間や身近な人間の肉体を識別しているという研究結果は出ていたが、人間を顔で識別しているかどうかは実証されていなかった。

オルトン博士は「ヒツジたちは驚くほど識別能力が優れている」と指摘した。

また、実験で正解したヒツジに餌を与えずに続行した場合でも、4人の写真を選んだという。オルトン博士によれば、ヒツジは餌をもらえるということではなく、単に問題を解決するために行動していることが示唆されている。

ちなみに実験に臨んだヒツジたちは、肉食用の農場で生まれたが生後12カ月でケンブリッジ大学の農場に引き取られた。あわや加工して出荷される寸前のところから命拾いしたとも言える。

ハンチントン病治療に希望も

2枚の写真を見比べるヒツジの後ろ姿は滑稽に見えるかもしれないが、真剣な目的を持つ研究だと英デイリーメールは指摘する。

オルトン博士は「この能力がヒツジ独自のものとは思わない」と考え、難病の研究に応用しようとしている。

身近な人の顔の認識が難しくなる症状が出る認知症やハンチントン病の研究に役立つ可能性を秘めているという。ヒツジでテストをすることによって認知能力を測定することができる。今後は、ハンチントン病の原因となる遺伝子を持つヒツジでも実験を行う予定で、ハンチントン病に効く治療法を研究する。

オルトン博士は「ハンチントン病は本当に怖くて悲惨な病気。その克服を目指すのが私がヒツジの実験をするただひとつの理由だ」と語った。

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル!
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

金現物、4500ドル初めて突破 銀・プラチナも最高

ワールド

イスラエル、軍ラジオを来年閉鎖 言論の自由脅かすと

ワールド

再送-ベネズエラが原油を洋上保管、米圧力で輸出支障

ワールド

豪NSW州で銃規制・ 反テロ法強化、乱射事件受け
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者・野村泰紀に聞いた「ファンダメンタルなもの」への情熱
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これまでで最も希望が持てる」
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 6
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 7
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 8
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 9
    なぜ人は「過去の失敗」ばかり覚えているのか?――老…
  • 10
    楽しい自撮り動画から一転...女性が「凶暴な大型動物…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中