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オゾンホールオゾンホール、1988年以来最小に:温暖化がオゾン層保護に「貢献」
今年のオゾンホールは1988年後では最小となった(C)NASA
米航空宇宙局(NASA)は今月、南極上空のオゾン層が減少することで生じるオゾンホールが、1988年以降で最小になったと報告した。地球温暖化により成層圏の気温が例年より高かったことが、オゾン層の破壊を抑制した可能性があるとしている。
9〜10月に極大化する南極のオゾンホール
オゾンは3個の酸素原子からなる酸素の同素体で、高度約10〜50キロメートルの成層圏に多く存在してオゾン層を形成している。オゾン層は太陽から届く有害な波長の紫外線の多くを吸収し、地上の生態系を保護する役割を果たす。
オゾン層におけるオゾン濃度の減少は、塩素や臭素を含むフロンなどの化合物が紫外線によって分解され、発生した塩素がオゾンを破壊することで起きるとされる。
冬の南極上空では、「極渦」と呼ばれるジェット気流帯が熱を遮断することで極成層圏雲が形成され、雲の氷の表面では塩素分子が作られる。晩冬から春にかけて太陽光が戻ってくると、塩素によるオゾンの破壊が急速に進んでオゾンホールが発生し、拡大していく。南極のオゾンホールは例年、9月から10月にかけて面積が最大になる。
NASAの観測によると、今年の南極のオゾンホールは9月11日に最大となり、米国本土の約2.5倍に相当する約1960万平方キロメートルになったという。このサイズは、1988年の約1380万平方キロメートルのあとでは最小となる。
地球温暖化による影響か
NASAの科学者らは、オゾンホールが昨年から今年にかけて縮小したのは、地球温暖化の影響が考えられるとしている。今年は南極の極渦の温度が高かったことで、極成層圏雲のサイズも小さくなり、その結果塩素分子の生成とオゾンの破壊も抑制された可能性があるという。
NASAはオゾンホールの観測データを「NASAオゾン・ウォッチ」というサイトで公開している(着色された南半球の画像では、青い部分がオゾン量が少ないことを示す)。今年のデータを見ると、オゾンホールの面積は9月11日をピークに減少に転じ、最新の11月6日には829万平方キロメートルと、ピーク時の半分以下にまで縮小していることがわかる。
科学者らは、南極のオゾンホールが2070年頃に1980年の水準にまで回復すると予想している。