最新記事

ユネスコ

トランプ「ユネスコ脱退」、習近平「高笑い」

2017年10月16日(月)14時00分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

ただ、TPP、パリ協定、ユネスコと、トランプが次々と国際社会から後退していけば、高笑いするのは習近平。

第19回党大会を前に「中華民族の偉大なる復興」「中国の夢」を掲げて「これからの世界を制覇するのは中国である」と意気込んでいる習近平には大きなプレゼントとなる。

TPPの脱退により習近平は,「一帯一路」巨大経済圏構想を中心として世界のグローバル経済を牽引していくのは中国であり、パリ協定脱退により中国は発展途上国の味方は誰でありEUと連携できるのはどの国なのかを見せつけることに成功し、今度はユネスコ脱退により、「精神面における世界のリーダーは中国である」と言わんばかりにユネスコを独占していくことだろう。

政治化するユネスコ

そもそもユネスコは本来、「諸国民の教育、科学、文化の協力と交流を通じて、国際平和と人類の福祉の促進を目的とした国連の専門機関の一つ」だ。今では世界記憶遺産(世界の記憶)の登録などを行っているが、主要幹部は、ほとんどが中国人と韓国人によって占められている。

それというのも習近平が妻の彭麗媛氏をユネスコのイリナ・ボコヴァ事務局長に紹介し、二人を親密にさせたからだ。ボコヴァはもともと生粋の共産主義者。ブルガリア人だがモスクワ大学で学び、ブルガリア共産党員となって活躍を始めたという経歴の持ち主だ。

彭麗媛とボコヴァの緊密化に伴い、ユネスコ、特に世界記憶遺産は習近平夫妻に牛耳られるようになったと言っても過言ではない。

南京大虐殺文書を無条件に「非公開」で世界記憶遺産に登録させたのもボコヴァなら、発言権の大きい主要幹部を中国人と韓国人に独占することを許しているのも彼女だ。

彼女は2015年9月3日に北京で開催された「中国人民抗日戦争・世界版ファシズム戦争勝利記念70周年記念」にも出席し、明確に「中国側」に立っていることを表明している。今年5月には、中国が最大の国家事業として位置づけた「一帯一路国際協力サミットフォーラム」にも出席している。習近平夫妻はユネスコを二人の手中に収めているも同然なのである。ユネスコは「中立」ではない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

不明兵捜索、時間との戦い イランの猛攻耐えた米軍救

ワールド

トランプ氏、イランに合意期限「6日」 米戦闘機乗員

ワールド

米、イランで不明の戦闘機乗員救出 トランプ氏「史上

ワールド

イラク南部の巨大油田に攻撃、3人負傷 イラン国境に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙の2大テーマでAI懸念を払拭できるか
  • 2
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐせ・ワースト1
  • 3
    「高市しぐさ」の問題は「媚び」だけか?...異形の「攻撃的知能」を解剖する
  • 4
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 5
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 6
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 7
    地面にくねくねと伸びる「奇妙な筋」の正体は? 飛行…
  • 8
    トランプ、イランに合意期限「米東部時間6日午前10時…
  • 9
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 10
    血圧やコレステロール値より重要?死亡リスクを予測…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始めた限界
  • 3
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引、インサイダー疑惑が市場に波紋
  • 4
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 5
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 6
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 7
    中国がイラン戦争最大の被害者? 習近平の誤った経…
  • 8
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受…
  • 9
    初の女性カンタベリー大主教が就任...ウィリアム皇太…
  • 10
    「高市しぐさ」の問題は「媚び」だけか?...異形の「…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中