カタルーニャ「独立」は第2のスペイン内戦を呼ぶか
もし独立賛成が圧倒的多数を占めれば、州政府は独立に向けた動きを加速させるだろう。州法の規定では、「賛成」票が過半数を占めれば、カタルーニャ州が「合法的な民主社会共和国」になる法律が施行され、徴税権や、中央政府が管轄していた資産や各種機関を獲得できるとある。さらに、1年以内に実施する次の住民投票に向けて、独自の憲法も作成することになる。中央政府の裁判所は、そうした措置は違法だとして片端から無効にし続けてきたし、これからもそうするだろう。一方の州政府幹部らは、中央政府がどんな手を使おうと、住民投票で独立派が勝利すれば自分たちには州議会の決定を優先する権利があると主張する。
双方がもっと現実的な対応を取る可能性も残っている。ラホイ政権は最近、中央政府の国内の自治州政府に対する権限分担を見直して譲歩する姿勢を、水面下で示し始めた。カタルーニャ州政府は、これまでより有利な立場から自治権の見直し手続きに参加することで、中央政府の譲歩に応じる可能性はある。
だが交渉による解決に向けたハードルは多い。
2014年の住民投票を実施した前州首相マスは5年前、スペインのバスク州並みに有利な徴税権を求め、首都マドリードでの交渉に向かった。豊かなバスク州には、収めた税金に見合う税収が中央政府から配分されていた。だがラホイは当時、マスの要求を一蹴した。
交渉の時期は過ぎた
もっとも、カタルーニャ州で独立を支持する若い世代は、自分たちの親の世代ほど、自治権拡大やより有利な財政援助に興味はない。ただ、自分たちの未来は自分たちで決めたいのだ。交渉による取引をするタイミングは、すでに過ぎ去ったように見える。
多くは、プッチダモンと州政府がどこまで求めるかにかかっている。前任者のマスと同じく、プッチダモンは独立は手の届くところにある、と人々の期待を煽った。もはや穏健策では満足しないだろう。二人とも、カタロニア独立の脆弱な法体系がスペインの司法当局が粉砕していくのに伴い、法的な殉教者となるよう運命付けられている。
だが、そうした殉教こそがカタルーニャ独立派の狙いだ。司法による容赦ない追及は、独立派を奮い立たせる。独立派に対する弾圧が続けば、国際社会がカタルーニャの味方につくかもしれないからだ。事実、米ニューヨーク・タイムズと仏ルモンドの社説は、住民投票の実施を許可するようスペインに促していた。
これまでスペインでは、2つの現実がいたちごっこを演じてきた。カタルーニャ州独立派が公的機関の名をカタルーニャ風に変えると、スペインの法廷がそれを却下して元に戻す。その繰り返しだ。
しかし、2つの現実が共存するのは不可能で、近いうちに相まみえなければならない。そのとき、スペインは交渉のテーブルに就けるのだろうか、あるいは内戦を戦うことになるのだろうか。
(翻訳:河原里香)
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