最新記事

ニュースデータ

日本はなぜここまで教育にカネを使わないのか

2017年9月21日(木)14時45分
舞田敏彦(教育社会学者)

他のOECD加盟国の試算もできる。下の<図1>は、横軸に公的教育費の対GDP比、縦軸に子ども・若者1人あたりの公的教育費をとった座標上に、34カ国を配置したグラフだ(瑞はスウェーデンをさす)。公的教育費の相対比率と絶対額が見られるようにした。

maita170921-chart02.jpg

日本の横軸が最下位なのは分かっているが、子ども・若者1人あたりの公的教育費(縦軸)の絶対額でも少ない部類に属している。OECD諸国の平均値に達していない。

対極の右上には、ノルウェー、デンマーク、スウェーデン、フィンランドといった北欧諸国がある。ノルウェーでは1人あたり1万9000ドル(約210万円)もの教育費を国が投じている。幼児教育から高等教育までの学費が無償であるのも頷ける。ICT(情報通信技術)教育先進国のデンマークも、教育への公的投資額が多い。

日本は高等教育への進学率が高く、今や同世代の半分が大学に進学する。それにもかかわらず公的教育投資が少ないため、負担が家計にのしかかっている。高額な学費や貧弱な奨学金は、その表れに他ならない。OECDの教育・スキル局長も「日本の私費負担は重い。家庭の経済状態による格差をなくすためにも、一層の公的支出が必要だ」と指摘している(2017年9月12日、日本経済新聞)。

給付型奨学金が導入され、高等教育の無償化の議論が進むなど、日本の教育の現状も変わりつつある。高等教育のどの部分を対象にするかなど議論の余地は多いが、法が定める「教育の機会均等」の理念が実現するよう改善が必要だ。

<資料:OECD「Education at a Glance 2017」、
    総務省統計局『世界の統計 2017』、
    United Nations「The 2017 Revision of World Population Prospects」>

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル!
 ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル・UAE主要空港、限定的に再開へ 帰国支

ワールド

中東紛争激化で旅行関連株急落、過去3日で世界で40

ワールド

トランプ氏、イランとの戦争で「大きな波はまだ」=報

ワールド

イラン作戦、目標達成に時間 終わりなき戦争ではない
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医師が語る心優先の健康法
  • 2
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 3
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 4
    ドバイの空港・ホテルに被害 イランが湾岸諸国に報…
  • 5
    【台湾侵攻は実質不可能に】中国軍粛清で習近平体制…
  • 6
    【トランプ関税はまだ序章】新関税で得する国・損す…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    人気の女性インフルエンサー、「直視できない」すご…
  • 9
    核合意寸前、米国がイラン攻撃に踏み切った理由
  • 10
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 1
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 2
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 3
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 4
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 5
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 6
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 7
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 8
    中国で今まで発見されたことがないような恐竜の化石…
  • 9
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 10
    「若い連中は私を知らない」...大ヒット映画音楽の作…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中