日本はなぜここまで教育にカネを使わないのか
他のOECD加盟国の試算もできる。下の<図1>は、横軸に公的教育費の対GDP比、縦軸に子ども・若者1人あたりの公的教育費をとった座標上に、34カ国を配置したグラフだ(瑞はスウェーデンをさす)。公的教育費の相対比率と絶対額が見られるようにした。
日本の横軸が最下位なのは分かっているが、子ども・若者1人あたりの公的教育費(縦軸)の絶対額でも少ない部類に属している。OECD諸国の平均値に達していない。
対極の右上には、ノルウェー、デンマーク、スウェーデン、フィンランドといった北欧諸国がある。ノルウェーでは1人あたり1万9000ドル(約210万円)もの教育費を国が投じている。幼児教育から高等教育までの学費が無償であるのも頷ける。ICT(情報通信技術)教育先進国のデンマークも、教育への公的投資額が多い。
日本は高等教育への進学率が高く、今や同世代の半分が大学に進学する。それにもかかわらず公的教育投資が少ないため、負担が家計にのしかかっている。高額な学費や貧弱な奨学金は、その表れに他ならない。OECDの教育・スキル局長も「日本の私費負担は重い。家庭の経済状態による格差をなくすためにも、一層の公的支出が必要だ」と指摘している(2017年9月12日、日本経済新聞)。
給付型奨学金が導入され、高等教育の無償化の議論が進むなど、日本の教育の現状も変わりつつある。高等教育のどの部分を対象にするかなど議論の余地は多いが、法が定める「教育の機会均等」の理念が実現するよう改善が必要だ。
<資料:OECD「Education at a Glance 2017」、
総務省統計局『世界の統計 2017』、
United Nations「The 2017 Revision of World Population Prospects」>
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