プーチンのおかげで高まるスターリン人気
ロシアの独立系調査機関レバダセンターの最近の世論調査で、回答者が「歴史上最も重要な人物」に挙げたのはスターリンだった。2番目には詩人のアレクサンドル・プーシキンと並んで、プーチンの名が挙がった。同センターの別の調査でもスターリンの支持率は46%で、過去16年間で最高だった。
ロシアが欧米に対して敵対的な姿勢を強め、核戦争の脅威が現実味を帯びつつあるだけに、こうした調査結果は気掛かりだ。スターリン時代を知る高齢者が次々に亡くなっていることに加え、独立系メディアがほとんど存在しないことも手伝って、ロシア政府は歴史を好き勝手に歪曲できる。
【参考記事】<発言録>冷徹、強硬、孤独な男ウラジーミル・プーチン
米ノースウェスタン大学のゲーリー・モーソン教授は、ロシア人が大国の誇りをどれほど重視しているか、アメリカ人には理解できないと指摘する。多くのロシア人にとって、90年代の民主化の試みは大国の栄光の歴史から逸脱した混乱でしかなかった。ソ連時代を懐かしむ風潮が高まるなか、プーチンの登場は「母なるロシア」への回帰として多くの国民に熱狂的に歓迎された。
ロシアには民主主義は根付かないのだろうか。「そんなことはない」と言いたいが、プーチンの強権支配下で飼いならされた人々が歴史の教訓を忘れて、強い指導者に熱狂する様子を目にすると、絶望的な思いを拭えない。
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[2017年8月 1日号掲載]