北朝鮮、追加制裁迫るなか中国製に代わり自国商品が台頭
訪問者によると、国内産消費財の質が向上しており、化粧品から清涼飲料に至る幅広い製品にQRコードやバーコードが付いているという。また、販売店側の競争も高まっており、試食品を顧客に提供したりしている。これは、5年前には見られなかった光景だ。
「2013年ごろ、金正恩氏は輸入に代わるものの必要性について語り始めた」と話すのは、北朝鮮で市民にビジネススキルを教える、シンガポールに拠点を置くチョソン・エクスチェンジのアンドレイ・アブラハミアン氏だ。
「高級品だけでなく、食料品のような低価格製品も含め、あまりに多くの製品が中国から輸入されているという明らかな認識があった」
わが祖国
高麗航空は現在、タバコや炭酸飲料、タクシーやガソリンスタンドといった幅広い事業を手掛けている。
「わが祖国」を意味する複合企業Naegohyangは、平壌を拠点とするタバコ工場としてスタートしたが、近年ではトランプや電化製品、スポーツ衣料まで手を広げている。
これら北朝鮮の企業からコメントを得ることはできなかった。また、こうした企業は損益計算書を公開しない。共同事業のパートナーを特定することも不可能だ。
国家による支配が強まっているグレーマーケット経済で私腹を肥やす「ドンジュ(金主)」と呼ばれる新興富裕層が増えているため、北朝鮮市場は魅力的だと、貿易業や小売り業の専門家は指摘する。
「北朝鮮の国民は中国製品を欲しがらなくなってきている。質が悪いと思っているからだ」と、北朝鮮に消費財を輸出する東南アジアの貿易業者は匿名で語った。
中国は近年、汚染された米や粉ミルクなど食の安全をめぐる数多くのスキャンダルに見舞われている。
「北朝鮮の母親は、中国やカナダの母親と何ら変わらない。彼女たちは可能な限り最高の食べ物を自分の子どもに与えたいのだ」と、北朝鮮に投資家や観光客、学術関係者の一行を連れて行く白頭文化交流社のマイケル・スパバ氏は言う。