最新記事

仏大統領選

フランス大統領選で注目すべき「4強」と3つのデータ

2017年4月21日(金)18時00分
エミリー・タムキン

大統領選は4人(左からフィヨン、ルペン、マクロン、メランション)の接戦に Charles Platiau-REUTERS

<有力候補4人が接戦を繰り広げるフランス大統領選。23日の第1回投票の注目点は、投票率や各候補の得票数、そして浮動票の行方だ>

フランス大統領選の第1回投票日(23日実施)が近づいている。

現職のフランソワ・オランド大統領が4%という最低の支持率で結局出馬せず、与党・社会党を中心とする左派連合の統一候補には「際立って」目立たないブノワ・アモン前国民教育相が選出された。

EUの将来を占う重要な選挙として注目される大統領選だが、支持率はめまぐるしく入れ替わり、現在は以下の「4強」に争いが絞られてきた。ただし、投票3日前にパリでISIS(自称「イスラム国」)による銃撃テロが起こるなど、まだまだ事態は流動的だ。

「4強」候補

中道右派のフランソワ・フィヨン元首相は、サルコジ元大統領や事前の期待が高かったアラン・ジュペ元首相をやぶって、予想外の統一候補となった。しかしその後、勤務実態がない妻と2人の子供に多額の報酬を支払っていた疑惑が明るみになって訴追され、首位から脱落した。

代わりに最有力候補の1人に踊り出たのは、ほぼ無名だった中道のエマニュエル・マクロン前経済相。マクロンはEUとの統合推進を主張し、ロシアに対抗する姿勢を見せている。

【参考記事】極右、トランプという暗黒が生んだフランスの新星マクロンの魅力とは

極右政党・国民戦線のマリーヌ・ルペンは、先月末にプーチンと会談するなどロシア寄り。ここへきて国民戦線を穏健右派のイメージに変える「脱悪魔化」を進めている。

【参考記事】フランスに「極右」の大統領が誕生する日

一方で、フランスのEU離脱(フレグジット)の是非を問う国民投票の実施や、不法移民の子供たちへの教育をやめる憲法改正を提唱。ナチス占領下で起きたフランス警察のユダヤ人検挙事件について、フランスの責任を否定する発言をしている。

4月に入って支持率が急上昇したのが左翼党のジャンリュック・メランションだ。既存メディアを避けて自分のYouTubeで語り、社会主義のキューバやベネズエラに好意的な言動をしている。

【参考記事】フランス大統領選3位に急浮上、左翼党メランションの脅威

直前テロの影響

パリは、130人の死者を出した2015年11月の同時多発テロ以来今も厳戒態勢にあるが、昨日、候補者がテレビの生番組に出演しているさなかに再びテロが発生。警官が1人犠牲になった。投票にも少なからず影響するだろう。ISISの犯行とみられることから、排外主義を唱える極右に有利に働くことも考えられる。

投票日前の3つの注目データを整理してみよう。

■投票率

最大の注目点は投票率で、その理由は大きく2つある。

投票率が比較的低い場合(フランス大統領選の場合には70~80%以下のケース)、既存政治家の候補者が少ない今回の選挙でも有権者が失望していることを意味する。

投票率が低いほど、ルペンとフィヨンに有利そうだ。2人の支持者は、マクロンやメランションの支持者より投票に行く割合が高いからだ。

■誰がどれだけ得票して決選投票に勝ち進むか

5月7日の決選投票には、2人の候補者だけが勝ち進む。現状では4強(フィヨン、ルペン、マクロン、メランション)の接戦となっている。もし上位2人の候補が3位以下の候補に大差を付ければ、決戦投票までの選挙戦では論争が深まり、争点が分かりやすい選挙が期待できるだろう。しかし、もし2位の得票が3位、4位と大差なければ、下位候補を支持した有権者が、決戦投票で波乱を起こすかもしれない。

【参考記事】フランス大統領選、英米に続くサプライズは起きるか?

■浮動票はどう動く
現在でも20~25%の有権者がまだ誰に投票するか決めかねている。投票日直前か投票日当日に、いずれかの候補が一気に支持を伸ばす可能性はある。どの候補がそのチャンスに恵まれるか、それも注目点だ。

From Foreign Policy Magazine

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

英仏、 米国のホルムズ封鎖に不参加 多国間枠組み策

ワールド

米のホルムズ海峡封鎖が開始期限、イラン報復示唆 原

ワールド

原油現物が最高値更新、150ドルに迫る 米のホルム

ワールド

米イラン停戦「非常に脆弱」、中国外相 対立激化への
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:台湾有事の新シナリオ
特集:台湾有事の新シナリオ
2026年4月21日号(4/14発売)

地域紛争の「大前提」を変えた米・イラン戦争が台湾侵攻の展開に及ぼす影響をシミュレーション

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本は「イノベーションのやり方」を忘れた...ホンダ「EV撤退」が示す、日本が失った力の正体
  • 2
    「いい加減にして...」ケンダル・ジェンナーの「目のやり場に困る」姿にネット騒然
  • 3
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国防軍は崩壊寸前」
  • 4
    【銘柄】イラン情勢で「任天堂」が急落 不確実な相…
  • 5
    目のやり場に困る...元アイスホッケー女性選手の「密…
  • 6
    トランプがまた暴走?「イラン海上封鎖」の勝算
  • 7
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 8
    「違法レベル...」ゼンデイヤの「完全に透けて見える…
  • 9
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 10
    トランプ政権に逆風...「イラン戦争でインフレ再燃」…
  • 1
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 2
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 3
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 4
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 7
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国…
  • 8
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 9
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 10
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦に…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 10
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中