トランプ、想像を絶する環境敵視政策が始まった──排ガス規制の米EPAに予算削減要求とかん口令
エベルは、新規・既存の石炭や天然ガスの火力発電所を対象に温室効果ガスの排出規制を定めた「大気清浄法(CAA)」や、保護対象水域への汚染物質の排出を許可制にした「水質浄化法(CWA)」、チェサピーク湾に排出される汚染物質の総量を規制する「日間最大排出量(TMDL)」などの規制に軒並み反対しているという。
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メモでは、EPAが科学的な研究に出す補助金の廃止も求めていた。「長年アメリカの雇用を破壊してきた偏見に満ちた反エネルギー対策」を排除するために、EPA内の意思決定プロセスを改革し、連邦政府及び州政府の規制や決定をくつがえせないようにさせる提言もあったと、アクシオスは伝えた。
環境は大丈夫なのか。米コロンビア大学サビン気候変動法センターのマイケル・バーガー事務局長は、環境規制の多くは容易に変更できないとみる。例えば、温室効果ガスの排出が気候変動を引き起こすと結論付けたEPAの2009年の報告書「危険状況調査の結果(Endangerment Finding)」。発表以来、米政府による環境政策の指針となってきた見解をトランプ政権が取り消したり無視したりするのは、裁判所が認めない限り不可能だという。少なくとも数年間は。
異常気象に備えることもできない
だがオバマ前大統領の大統領令を、トランプの大統領令で撤回修正することは可能だ。米オンラインメディア、ヴォックスが伝えたところによれば、国有地での石油掘削を禁じる措置も撤回の対象に挙がっている。オバマ政権下の環境政策の一部は、法律ではなく大統領令によるもので、オバマの思い入れは強いが撤回も簡単なのだ。環境諮問委員会が、新しい建築工事などを評価する際に、気候変動への影響を防ぐために作られた指針が良い例だ。「あれが撤回されれば悲惨だ」とバーガーは言う。例えば、気候科学者が予測した海面の上昇や非常に強い暴風雨などの災害に対して、耐久性がない建物が建設されてしまう恐れがある。
米環境保護NGOエンバイロンメンタル・ワーキング・グループ(EWG)のケン・クック代表は、「環境や公衆衛生、科学に対する殺戮行為」と、反対すると声を上げた。エベルの内部メモから、人命も救ってきた重要な環境保護対策を、新政権がぶち壊そうとしている意図が読みとれると、クックは言った。
はっきりしているのは、環境敵視政策に特定の被害者はいないということだ。地球全体が、トランプ新政権の過ちの責めを負うことになる。