最新記事

中国

深センに行ってきた:物を作れる人類が住む街で

2016年12月9日(金)15時00分
山崎富美(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター フェロー)

 Google ブースでは他にも Soldering tent を開催し、大人も子供も含め、非常に多くの人がはんだづけを体験した。壊す方もいいけど、作る方も大事。簡単なはんだづけで、 LED が光るバッジを作ることができた。

17183548953_ab3928822c_z.jpg

 友達の Bunnie Huang はAn Insider's Guide to Shenzhen Manufacturing でこう語っている。


「アウトソーシング。その言葉、大っ嫌いだ。それじゃダメなんだよ。CADファイルを中国に送れば魔法のように製品ができてくるとでも思ってるわけ?ちゃんと現地に行って、パートナーシップを確立しないと製造なんてできるわけない。」

"It's not about 'outsourcing,'" says Huang, dismissively. "I hate that word -- like you're just going to ship CAD files to China and magic elves are going to make Christmas happen for you. You're really building a relationship," he says, "A partnership." And that relationship needs to be built in person.

 「アメリカは20年ぐらい前にマネジメントに詳しい人達とハーバード・ビジネス・レビューの著者たちが企業にコアコンピタンスに集中してそれ以外は中国みたいな低賃金の国にアウトソースしてしまえと言い始めた、あそこからおかしくなったんだ。こういうマネジメントの人たちが理解してなかったのは、自分の会社の社員たちが持っていた製造のプロセスやその特異性に対する細かい知識、それこそが自分たちのコアコンピタンスだったってこと。アメリカの会社、特にベイエリアの会社はそれらを全部放棄して、サプライヤーや設備メーカーなど、製造に関わるエコシステムを全て消滅させてしまい、まだ製造が行われている場所に全部移してしまった。」

"I think that corporate America created this problem about two decades ago when 'management gurus' and Harvard Business Review writers started telling companies to focus on their core competencies and outsource everything else to low-wage countries like China. One thing those managers didn't understand was that the employees in their companies, with a detailed understanding of their manufacturing process and its quirks, were some of their core competencies. It's sad that most corporations in the U.S. -- especially in the Bay Area -- gave all of that up, and in the process, depleted the manufacturing ecosystem there, as suppliers, equipment Makers, and the like either disappeared or moved to where that manufacturing was still happening."

 「製造っていうのはさ、サプライヤー、修理工、仲買人、輸送、配送。。。全部のエコシステムのことを指すんだ。2013年の Shanghai Maker Carnival のときに僕が華強北のアパートで寝てたら僕の工場からトランジスターが足りないって電話が入った。だから起きて階段を降りて3000個のトランジスターを道端で買って工場まで歩いて持っていってラインに乗せた。2時間後にはラインが復旧した。これができるのが深センって街なんだ。他の街なら24時間は止まってただろうね。で、この24時間の遅延というのがちょっとづつ蓄積していって、プロダクトの最終的な完成が恐ろしく遅延していく。そういうものなんだよ。」

"Manufacturing implies an entire ecosystem of suppliers, repair technicians, jobbers, shipping and delivery services, etc.," he says. To illustrate what makes Shenzhen so unique, he shared a story at the 2013 Shanghai Maker Carnival: "I'm in my apartment, in Huaqiangbei, and I get a call early in the morning. My factory is short of transistors. So I get up, walk downstairs, buy 3,000 transistors on the street, walk over to the factory, thread it into the reel on the line, and two hours later, the line's up and running again." In another city or situation, he says, your factory would be down for maybe 24 hours. Those 24-hour delays begin to mount and seriously slow delivery of your product.

iPhone の手書きの株式市場

 Bunnie が書いた深センの本に「深センには iPhone の株式市場がある」と書いてあったので、そのビルにやってきた。

 実は電光掲示板に iPhone の株価が表示されているようなものを想像していたのだが、ものすごく手書きで紙の世界だった。各ブースに、手書きだったり印刷だったり赤だったり黒だったり iPhone だったり iPhone 以外のスマホだったり、その様々な価格がどわわわわーっと書かれていてこれがビルのフロア中見渡す限り埋め尽くされている。

29961284254_a608787d03_z.jpg
 深センには iPhone のセカンドライフが待っている、のかもしれない。

※当記事は、山崎富美さんの個人ブログFumi's Travelblogからの転載です。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、テキサス州空港の発着禁止を解除 カルテル無人機

ビジネス

1月米雇用、13万人増と予想大幅に上回る 失業率4

ビジネス

中国、仏の対中関税提言に反発 対抗措置示唆

ワールド

ハイネケン、最大6000人削減へ ビール需要低迷
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 3
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トランプには追い風
  • 4
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    崖が住居の目の前まで迫り、住宅が傾く...シチリア島…
  • 7
    一体なぜ? 中国でハリー・ポッターの「あの悪役」が…
  • 8
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 9
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 10
    変わる「JBIC」...2つの「欧州ファンド」で、日本の…
  • 1
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 5
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 6
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 7
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 8
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 6
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を…
  • 7
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中