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深センに行ってきた:物を作れる人類が住む街で

2016年12月9日(金)15時00分
山崎富美(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター フェロー)

 少年宮にある書店に行ったときに様々な本を見た。「iPhoneの本」と言って日本で想像するのは、「iPhoneの使い方」の本とか「iPhoneアプリの作り方」の本だろう。ところが、この国立の書店で売っていたのは「iPhoneの直し方」とか「Androidの直し方」の書籍である。我々はこれらの書籍を「iPhone解体新書」「Android解体新書」と名付けた。ベイエリア在住でAndroid解体新書を見たい人は、お見せするのでお声がけください。参加メンバーの多くが購入しているので日本にはたくさんあるはず。

 本には、スマホの開き方、スマホの部品の解説、回路図、信号の波形などが細かく掲載されている。様々な機種の、機種ごとに。

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 Shanghai Science and Technology Commission が Chinese Makerspace Initiativeを提案したのは2011 年、もう 5 年も前のことだ。「政府が 100 件の上海の "Innovation Houses" に投資し、それぞれの施設が 328 平方フィート以上の面積をもち、旋盤、のこぎり、ドリル、フライス盤その他のツールを整備する。年間 200 日以上は開館し、無料で公共に提供しなければならない」とされていた。


Shanghai Science and Technology Commission proposed the Chinese Makerspace Initiative, where the government would fund the building of 100 "Innovation Houses," each at least roughly 328 square feet and equipped with lathes, saws, drills, milling machines, and other tools. These spaces were to be open at least 200 days a year and be free for the public to use.

By 2012, 45 government-sponsored makerspaces had opened their doors in Shanghai and more were in the works.

Make: How Maker Faire Found Its Way to Shenzhen

 2012 年には 45 件の政府の支援を受けたメーカースペースが上海にオープンし、2016 年現在は 100 を超えている、また数はわからないが深センにもメーカースペースが激増しているとも聞いた。HackerSpaces に登録されている上海の Space はたったの 2 軒、深センの Space はたったの 3 軒なのだが、きっと中国独自の別のディレクトリーがあるのだろう。

Trouble Makerへ

 深センでは Trouble Maker というmakerspaceに遊びに行った。Maker Faire Shenzhenで彼らのブースにも訪れた。3Dプリンターなど色々なツールを整備しているほか、教育にも力を入れているという。

私「教育って何を教えているの?」
Henk「3Dプリンターの使い方とか、プログラミングとかかな」
私「もっと深センならではのプログラムがあったりしない?」
Henk「あーそうね、電話の作り方講座とか。時計の作り方講座とか。
私「うおーそれは燃えるね。時計ってアナログ時計?スマートウォッチ?」
Henk「どっちでもできるよ。パーツも揃えられるしね。10週間かけてやるんだよ」
私「10週間もいられないなあ。短期コースはないの?」
Henk「ビジター用に短期集中3日間コース作ろうかな」
私「やったー!」

。。。というノリ。

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 パーツは何でもすぐそこで手に入る。作り方もわかる。作るためのツールも提供されている。企業にとって深センは工場やマニュファクチャリングの話が一番響くと思うが、あくまで個人にとっての深センを考えると、ここは世界で一番電子機器の中の仕組みを理解できるようにできる街なのだ。

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